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カブの旅 第42話「七北田ダム——バイクに乗りたい時とは」

 なんだか身体が湿っているなあ。
 そんなふうに感じると、無性にバイクに乗りたくなる。
 そう思うのは、梅雨時で湿気が高いから、というわけでもない。同じような日々が続いて新鮮味が足りず、マンネリしていると、どうも身体の中の空気の循環が滞っているような、そんな気がしてくる。だから窓を開けて、風を入れたくなる。つまりは風を浴びて空気を入れ替えたい、湿気を逃したい欲求が生まれるわけだ。

 だからバイクで走りたくなる。なるべく風を浴びるのが目的だから、信号が少なく、止まらないで済むような道がいい。そして景色が良ければ申し分ない。

 仙台市近郊で言うと、海側よりは山側の方がそれらの条件に適している気がする。海側は景色はいいが、信号はあるし交通量も多い。
 それに比べて、たとえば泉ヶ岳近辺や大和町あたりは信号も交通量も少なく、適度にワインディングだったり、ダムや道の駅などの目的地もある。少し足を伸ばせば定義山など観光地もある(油揚げで有名なとこ)。

 というわけで、今回は泉ヶ岳近くにある七北田ダムまで身体を乾かしに行くことにする。

  *

 七北田ダムへの行き方はわかりやすく、泉ヶ岳に登る手前で道を逸れれば、あとはそのまま道なりでいい。

 だというのに、迷った末にこんな荒野に辿り着いてしまった。
 七北田ダムの公園を目指していたのだが、明らかに違う。
 Googleマップを確認すると、管理事務所の方に曲がらないでそのまま道なりでよかったようだ。管理事務所の方に曲がってしまうと、木の枝が頭にぶつかりそうになるほど垂れ下がっている、車2台すれ違うのは難しいくらい狭い山道に入って、こんな荒野まで登ってしまうので注意してほしい。
 周囲に明かりはなさそうなので天体観測に適していそうだが、夜は道中怖いと思われるのでおすすめはしない。

 元の道に戻って進むと、間もなく目的地の小さなダムの公園に着いた。

 最後の写真の山が泉ヶ岳……だと思う。なんとなく方角的に。
 ちなみにそこに写っている白い建物が管理事務所で、その上辺りまで登ったのが最初の写真だ。
 静かで耳が休まり、空気もおいしく、身体も乾かせたので満足した。

【余談】
 しかし山道はやはりスーパーカブ110だとちょっとしんどい。パワーもブレーキも。特に下りのブレーキが心許ない。
 ダックス125とかおしゃれだしいいなあと思うものの、荷物や使い勝手の問題でなかなか買い替えの決心までは至らない。
 ダックスにホムセン箱つければいいのか? それってどうなんだろう……。ならカブでいいよねってなりそうな。

その分活字を取り込んで吐き出します。