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"Deconstruction" セルフライナーノーツ

人見です。
ぼくは自分の身に起きた出来事を片端から忘れていってしまう性格でして、記憶を記録に変換しておかないと殆どの事柄が誰にも顧みられずに消えていきます。
(過去の身辺については自分よりも家族や隣人のほうがよく憶えている)
セルフリリースノートと称した散文をここに置いておくのは、これを読んでくれる友人たちのためだけではなく、未来の自分が過去を辿りたくなったときの道標でもあります。

先日シングルとしてリリースした 『Deconstruction』は、2020年に公開した楽曲「Construction」のピアノを分解し、そこにビートを乗せたトラックです。
マスロック的なポリリズムがもともと好みなこともあり、ミニマルな実験音楽やエレクトロニカよりはマスロックのイメージで書き進めました。

Constructionが『Ophiopogon planiscapus Nigrescens』のカップリングとして静的なイメージで作られたのに対して、Deconstructionはシングル(CD版では3曲入りの1曲目)としてのダイナミズムを意識しています。
当初は「Construction」由来のフレーズ縛りで制作を進めたものの、アレンジの抑揚に乏しかったためピアノ以外のパートを新たに書き足しました。

アートワークはHello1103のyukako作です。
彼女はAMALAの『暗夜行路 / 告白』や自身のソロアルバムなどでもコラージュの作風でジャケットを描いていますが、Hello1103の作品に充てるのは初めてです。今までのHello1103のアートワークとは異なる風合いですが、Deconstructionの硬質な作風とは馴染んでいると感じます。
コラージュと音楽手法のサンプリングには互いに通じるところがあります。それぞれ大家もおり定着した手法ですが、映像も音楽もここ数年でメディアの次元が拡張していますので、コラージュは3D、サンプリングはイマーシブオーディオ上で新たな可能性が芽生えるのではないかと密かに期待しています。

ライブ

6月頃からライブでも楽曲をお披露目しました。ベースのドンとした低域はもともとライブでの鳴りを意識して作ったところがあり、期待通りに会場を揺らせるのは快感です。
VJで使用している都市の映像は春頃に話題になったUnreal Engine 5のCity Sampleから。サンプルプロジェクト自体をほぼゲームのようにプレイできるので、プレイヤーを飛行させ、軌跡を撮影しました。
ACE COMBATで鍛えた曲乗りスキルが役に立つ日が来るとは思わなかった。

Hello1103 Live@Tunnel Tokyo

ミュージックビデオ

2022年8月7日にDeconstructionのMVをYouTubeで公開しました。
先述のUE5 City Sampleを使った空撮素材を全編に使いつつ、yukakoのエディットにより幾何学的なエフェクトを構築しています。

このCity Sample、メモリの最低要件が64GBと非常に重いのですが、
そのぶん非常にリアルで見応えがあり、なおかつワールドに設定の自由度があります。
昼夜設定や人口なども自在に変更可能。
また、シェーダーやオブジェクトを切り替えたり、現実でやったら確実に怒られるような危険飛行に挑戦したり、そのうえで何度も同じ軌跡で撮影を繰り返したりなど、実際の空撮では不可能な編集ができるのも魅力です。
今回以上に現実から逸脱した編集もやってみたい。

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