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【旅行記】微魔女の微ミョーな旅・24

4.ベトナムー2018年

 私は怪しい微魔女?

 ホーチミン乗り換えでダナンの空港に着いたのは午前3時。今回は用心深く、ずっと窓口になっていたツアー催行会社A社のキャシーとチャットアプリで繋がっておいたので、いつもより気が楽だった。そしてキャシーに連絡することもなく、私の名前を持った男性を見つけ、車に乗ってホテルに向かった。   
 チェックインしたファーホイ・リバーサイド・リゾートは、トゥポン川を挟んで旧市街地の向かい側にある。そして案内された部屋は、まさかの、窓なし。その代り(?)浴室と寝室の間には大きな嵌め殺しのガラス窓があり、「え、ラブホですか?」と頬を赤らめたり……。眠い目をこすりながらフロントで部屋の交換を交渉をしてみたものの、空き部屋がないので無理だと断られ、部屋に戻ってから「閉所恐怖症の持病があるんです」と言えば良かったと後悔する。
 
 朝食は、通りを挟んだ向かいにある川沿いの屋外レストランで、窓無しの部屋とは逆に朝のそよ風が清々しい。8時にロビーに行くとツアーガイドが迎えに来てバスに乗り込み、途中のホテルでほかのお客を拾いながら、総勢15~6人でミーソン遺跡に向かった。
 今回は、皆ペアかグループで参加しているのでなんとなく話し掛けにくく、ガイドとばかり話していたが、日本人の母娘三世代の3人組がいたので、その中の微魔女世代に話しかけてみた。
 「日本からいらしたんですか?」
 「……日本語話してたら、日本人よね」
 「?」
 「日本はどちらからですか?」
 「東京ね」
 なんだか、歓迎されていない感触がする。第一、関西弁を喋っているし。普通、グループの一人が他人と話していたら、ほかの人が会話に加わってこないものだろうか? ましてや同胞なのに。微魔女世代と話していても、その母親世代も娘世代も遠巻きに見ているだけ。数日前にハノイから入って、それからずっと雨降りで観光どころではなかったらしく、聞いてもいないのに饒舌に愚痴を言っていた。その先、ほとんど会話が弾まないので話しかけずにいたら、ランチタイムを機に私が参加するクルーズ組と彼女たちの解散組に別れたので、なんとなくほっとした。
 「ねえ、なんか、この母子たち怪しくない?」
 この話を日本人の友達にすると、
 「いや、あんたの方が怪しい。微魔女世代が一人でツアーなんかにいたら、めちゃくちゃ怪しい」
 世の中、そんなものなのだろうか? 私の方が非常識なのか? そういえば、大昔に日本のツアーでトルコに行ったとき、一人参加の女性が2人いた。一人はおばあちゃんだったが、ノートにびっしり予習をしてきていて、ガイドさんの話もメモを取りながらもの凄く熱心に聞いていた。そしてもう一人はまさしく微魔女。夫は遊技場を経営していて、革のコートにジュエリーで全身キンキンギラギラ。お金はあっても愛はなかったのだろうか。そして私は、愛もお金もない怪しい微魔女だと思われたのか? 旅行用の服は機能性重視のアウトドア仕様だし、結婚指輪もしていないし……確かに怪しい。

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