ちょうどいいの案配
わたしはことばを紡ぐことが苦手だ。
ことばが足らなかったり、多すぎたりがわからず、それに加え語彙力のなさだったりで、ケンカになったり、誤解されたり。言いたいことが伝わらなかった。
ちょうどいいがわからないのだ。
“成長していけば勝手に身についていくだろう”“そこまでひどくもないはず”と見て見ぬふりをしていたし、ことばをあまり重要視してこなかった。
作文や読書感想文の宿題が出ると、それこそ頭を抱えて、何とか回避できないか、あとがきを自分なりにアレンジすればごまかせるんじゃないかと、本来の目標である「書き切ること」以外の部分を試行錯誤していた小学生になっていた。それはきっと、幼かった頃のある事が大いに影響していると思う。
わたしは乳幼児時期、「Mr.ビーン」のとりこになったらしい。
Mr.ビーンはことばをほぼ発しない。表情と動きで喜怒哀楽を伝える。ほぼ無声映画の域だ。乳児〜幼児期間はMrと共に過ごしたためか、変顔と変な動きをマスターし、それはそれは保育園の人気者だった。
ことばなどいらなかったのだ。
そのまま小学校へ上がった。変顔は作文に何の役にも立たなかった。
もちろん中高、そして大学生になってもことばが苦手な部分は変わらなかった。
そんな私に転機が訪れる。大学2年に進級した際の選択科目に「広告コピー論」を学ぶ授業があった。コピーを考えろ?わたしたちグラフィックだぞ?ことばだと?やばいぞ。思いつかない。
いまさら気付く。遅い。
いいコピーを思いつくこともできず、悶々としていく中で目に飛び込んで来たのが、言葉の企画のオリエン告知だった。
行動するための言葉。企画するための言葉。企画するための言葉。
私たちがふだんあつかっている「言葉」の力を活かして、自分の道を、自分でつくるために、立ち上げます。
「ことばで自分の道を自分でつくれる?」
オリエンに参加した帰り道、早速インターンに応募した。
そしてこの5月から「言葉の企画」インターン生として月に1回参加することになった。
いよいよはじまった「言葉の企画」第1回。
事前に出された課題の「自己紹介」と「一生記憶に残る経験の企画」。
開講する前に約70名分の書類を目にした。
素直にくやしかった。大学で「ワンキャッチ、ワンビジュアルが一番説得できるもの」とあれだけ習ったはずなのに。そもそも根本的に誰かに伝わらないと意味がない。
足らなかったのか多かったのか。また失敗した。講評の一番下段※に並べられた気がして泣きたくもなった。
※美大に入るための予備校では良い作品は上段、よろしくない作品は下段に並べられる。
何してるんだ、わたし。
そんな失意の中で刺さった阿部さんの言葉。
「チャンスに会いに行け」
忙しい、遠い、面倒くさい。そんなことを理由にしてわたしはたくさんチャンスを逃してきた。
正直、いまが一番時間がない。でもわたしは踏み出したじゃないか。みなとみらいに降り立ったじゃないか。
「待っていてもはじまらない」
本当にそうだ。待つんじゃない。行くのだ。
強い。ことばってこんなにも強いのか。こんなに響いちゃうのか。
講義を終えた帰り道、半年後どうなってるのだろう、あれ?心からワクワクしてる自分がいた。この貴重な機会、絶対に何かを掴むぞ。しっかり握って、これから輝くんだ。ことばと真剣に向き合うチャンスだ。
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美大の課題も同じで、足らなかったり多すぎたりする。ちょうどいいの案配が重要なのだ。
さあて、言葉足らずのわたしの「ちょうどいい」を探しに行こう。
補足:変顔は時には役に立つ
noteも初めてなので、まだちょうどいい長さがわからない。とはいえ、読んでくださってありがとうございました。