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通訳だからって英語が喋れると思ってないんよ

わたしは日英通訳をお仕事にしている。

大学生の頃は、外国語学部だったから、毎日友達とも英語で話す機会があったんだけど、Naoは英語うまいね。とか言われてて、心底納得いかなかった。

だってみんな日頃から練習してないじゃん。
喋れるようになるわけなくない?

いや、厳しいけどまじでそう思ってた。

でも別に周りに対してだけ厳しいわけじゃなくて、多分わたしは自分に対して一番厳しかった。

発音で納得いかないところは、納得いくまで練習したし、授業以外の時間もできる限り全部英語にした。
朝はリスニングの音源を聴きながら、自分で作った全部英語で書いてある単語ノートを見ながら学校に行って、学校ではなるべく留学生と一緒にいた。
授業が全部終わると、日本語禁止の学内施設で2〜3時間英語で話して、帰り道で1人反省会&練習。帰ったら宿題を終わらせて、英語でドラマを見たり、留学生の友達とスカイプでチャットする。寝る時はタイマーをかけて英語のポッドキャストを聴きながら寝る…。

これを2年続けた。
というか、その2年の間はほんとはもっとやっていて、TOEFLのために単語やリーディングもやったし、ライティングの練習もしたりと、本当に英語漬けにしてた。

それでもわたしは、自分の英語がまだまだだと思った。

いや、今でもまだまだだとしか思ってない。

ネイティブではない以上、どこまで行っても非ネイティブで、わたしの英語に対するモチベーションは、正直劣等感と完璧主義の満たされなさが大半を占めている。

心のことも仕事にしているわたしは、それがとても間違ったモチベーションの出所であることも自覚はしているけれど、まずはこれをカミングアウトすることが第一歩かもしれないと思った。

わたしは劣等感の塊だ。

話は変わるけれど、昨日、橋本美穂さんという有名な会議通訳者の方とツイッターでやり取りさせてもらった。普通にお仕事していたら、絶対に出会えない業界の最前線で活躍されている通訳者の方で、とても丁寧なリプをもらって嬉しかった。
調子に乗ったわたしは、一つ質問してみた。

美穂さんは、言葉だけでなく、感情まで読み取って訳すのが得意で、かつその訳し方が天才的にうまい。どのような思考回路があって、訳に至っているかは、本人が本でも説明しているのだけど、そこからなぜその訳が生み出せる…?というのが、飛躍しすぎていてわたしでは到底及ばない。日頃どのようなインプットやトレーニングをしているのかを質問した。

いただいたお答えをそのまま引用する。

ご質問ありがとうございます。答えとしては極めてマニアックになってしまい申し訳ないのですが、人間と言葉に対して日々アンテナを張り、気になったことはすぐに調べます。無知の知、と言い聞かせています。

なんだか、同じなのかもしれないと思った。

世の中には、多少しゃべれれば「英語がしゃべれる」と言う人もいるだろうし、満足するレベルは人それぞれ違う。
それは、目標が人それぞれ違うだけだ。

わたしの目標は、いつまで経ってもネイティブスピーカーだから、いつになっても達成されることがなく、それは飢えとなり、指針となる。

最前線で活躍されている美穂さんでさえ、そのハングリーさは同じなのかもしれないと思った。


心の癒しも、英語の学習も、わたしにとっては同じなのかもしれない。

まだ知りたい。もっとできるようになりたい。
そういう「飢え」が、わたしを動かし続けている。

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