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ダーンタフの靴下

登山の三種の神器と言えば、登山靴・ザック・レインウェア。そのうち登山靴については靴下とのセットで語られるべきだと思っている。靴下は地味な存在だけど登山で酷使され続ける足先と登山靴の仲立ちを担い、足周りを保護する重要なウェアである。靴下の違いで快適性も大きく変わってくる。ひいては山行の疲労度にも差が出てくるので登山靴のおまけと思わずしっかりとしたものを選びたい。

そして歩けば歩くほどすり減り続けるソールと同様に、靴下もまた寿命の短い消耗品でもある。自分は月に100kmほど山を歩くが、これまで履いてきたトレッキング用のソックスだと早いときには3ヶ月も経たずに穴が開く事があった。自分の歩き方が雑な事はさておき、いくら消耗品とはいえ1足2,000円前後するものをそんなペースで買い替えるのは不経済に感じてくる。

そんな靴下事情を嘆いたところダーンタフ(DARN TOUGH)の靴下をおすすめされたので試したところ噂に聞く通り抜群の耐久性だった。今までローテーションしていた靴下が1枚また1枚と脱落していき、しまいには左右組み合わせて履くような涙ぐましい運用を行う中、ダーンタフだけは平気で3年以上耐えてくれた。今ではダーンタフ一辺倒、気付けばストックを含め手持ちが大分増えてきたので実際に履いているものを紹介しようと思う。

ライトハイカー ノーショーライトウェイトウィズクッション

ノーショー(No Show)はダーンタフの中で最も丈が短いモデル。

トレイルランニングに誘われたのでそのために用意したのだけど、履き心地は紹介する全モデルの中で随一。山用としてはさておき、蒸れないし耐久性があるのでルームソックスは全部これに替えてもいいと思えるくらい。

他のモデルに比べて全体に着圧感があって、特に土踏まず辺りが気持ちがいいのでもっぱら山から帰ってきた後のリカバリー的な効果を期待して履いている。冬場、あまりにも寒い日はそのまま履いて寝たりもする。とりあえずルームソックスとしては最高。ちなみにこれを書いている今この瞬間も履いている。

山のロゴは踵にある

肝心の山用としての履き心地だが、生地がさらっとしていて靴の中でやや滑る感じがある。他のトレラン用の靴下を知らないけど靴とのフィット感を求めるならレース用途では他の選択肢もありなのかもしれない。というかトレラン自体は1度しかしていないのでフィールドでの検証はあまりあてにならなかったり。


ハイカー マイクロクルー ミッドウェイト クッション

ミドルカットの登山靴に合わせるとぴったりな丈で、アウトドアショップでもよく見かけるモデル。自分が山に行くときはオールシーズンほぼこれを履いている

公式サイトにもあるようにバランスのとれた万能モデルで、踵と爪先にクッションを配しつつも足の甲はメッシュになっているため通気性が確保されている。また、中厚でよっぽど冷え込んだ時や雪山に行かない限りは足先の冷えも特段感じることはない。
山用の靴下としては一般的な厚みなので他のメーカーから乗り換える時も靴のフィット感が大きく変わることはないと思う。

基本的にこれを選んで間違いのないモデルで万能だけれど完璧ではない。
クッションは履いているとパイルがそのうちつぶれてきて固くなってくるし、メリノウールにも限界があって暑いときや長距離を歩くとどうしても蒸れて熱がこもってきたりする。防臭効果にしたって同じである。なので予備を持って行って20kmくらいを目安に履き替えるようにしている。
ネガティブな事を書いたけど常識的な山登りで用いるにはこれ一足で十分。プロダクトが続く限りこれからも履き倒していくつもりだ。


ハイカー ブーツソック ミッドウェイト フルクッション

モデル名にフルクッションとあるようにクッション性に優れたハイソックス。

脛近くまで丈があるので主に寒い時期の縦走やスキーの時なんかに履いている。
フルクッションとあるが厚さはそこまで変わらず、上記のマイクロクルーの代わりに履いたとしても登山靴のサイズを変えたりする必要はない。

多少寒かろうとマイクロクルーばかりを履いてしまうので冬期の1500m以上の縦走で年に何度か履くのと、厳冬期の雪山に出かける際に替えにザックの片隅に収まっているのがいつものパターンで案外出番がなかったりする。泊まりを挟むアルプスの縦走なんかはいいかもしれない。

ちなみにダーンタフの靴下は毛玉が出やすいとよく言われていて、今回紹介する4モデルのうちこのモデルが最も繊維の抜けや毛玉が多く発生するように思う。

マウンテニアリング マイクロクルー ヘビーウェイト フルクッション

マウンテリニアリングと冠している事から分かるようにこれまでのモデル名と違い高所/厳冬期登山向きのモデルとなる。クッション性・保温性は他3モデルを大きく凌ぎ、雪山でも概ね快適な環境を足先に提供してくれる。縫い目も少ないので足を通す時もするっと入って気持ちがいい。膝下までのオーバーカフというサイズのモデルもあるので保温性を重視する人はそちらを。

なおメリノウールの配合率が全モデル中で最も高く、お値段も4,000円超え(2024年4月現在)。見ての通りかなり分厚いため靴のサイズには気を付ける必要がある。



左はブラック、中央・右はブラウンだったか

他、洗い替え用のミッドウェイトシリーズの面々。
中でもブラウンの二足は最古参の靴下で特に中央のマイクロクルーなんかはクッション部がかなりへたってきているのが見て判る。比べて左のブラック(これまで紹介してきた黒いモデルはオニキスという、ややこしい)は同じモデルなのに見るからにふかふかしている。とはいえ気になるのは履いた瞬間くらいで歩いているとほとんど気にならないのだけど……。


あれこれと紹介をしてきたけど冷静に考えて靴下が一足3,000~4,000円ほどというのはやっぱり高価と言わざるを得ない。登山初心者ともなれば靴と一緒に買う事になるだろうから目に見えて出費が嵩むので怯んでしまうと思う。

しかしメリノウール混紡である程度のクッション性もあるので多少ロングでも快適な山行を約束してくれる。それに相当に長持ちする上、生涯保証を掲げていて破れたら無償で交換してくれる※1 ので長い目で見ればお財布にも優しいはずだ。助けて!アメリカ大好き!※2

※1 現在は破れた靴下を送ると日本代理店であるA&Fのオンラインショップで使えるクーポンが発行される方式に変更になっていて、自分はまだ利用したことがないので割愛

※2 ダーンタフはMADE IN USA


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