「たくさんの人とモノ」

自分は、月に2.3回は都心に出る。
今と都心に住んでいた以前では、少し見え方や感じ方に変化を感じることがある。「匂い」も、そういったものの一つで、特にこれからの時期、夕立の後の帰宅ラッシュの電車内などは、様々なにおいが混ざり湿度も高く、なんとも言えない空間になる。
それだからか、電車内には消臭スプレーや、フレグランスなどの匂いに関する商品の広告は多い。
都心に住んでいる人間は特別臭いというわけではないだろうが、
どうしたってあれだけ多くの人間が密集していれば、あまり心地よくないことが起こるだろう。
電車内の問題といえば、痴漢もそうだと思う。
もちろん痴漢をする人間を肯定するわけではないが、通勤ラッシュ時など、あれだけ多くの人間を電車内に詰め込めば、なにかしらの問題は必然的に起こるように思う。
この問題を解決したければ、一人一人の心がけもそうだが、
あの異常な密集をなくすことの方が効果があるだろうことは、誰にだってわかるように思う。
しかし、様々な事情があって、都市には人も物も密集する。
この前も、知り合いの展示会を見に行こうと、銀座を歩いたが、結局は目的地に着く前に疲れて帰って来てしまった。
待ち行く人や、ショーウィンドウに並ぶ商品がどんなに美しくとも、
あれほどに密集すれば、まるで町中がドン・キホーテの店内のように雑多に感じてしまう。
その一方で、この前に行った川越や、石積みの並ぶ棚田などは、不便さや維持するための人の努力もおかげもあるだろうけれど、それを含めて、統一感や調和がとれていて美しいと思う。
たまには雑多さの中に身を置くことも、心地よく感じることもあるけれど、自分がおっさんになってきたせいか、最近はどうしても都心を歩いていると、頭も心も疲れてきてしまう。