「沼」って聞く度に大変申し訳ないんだが、
　ちゃんちゃらおかしくって鼻で笑っちまいそうになるんだ。

　「沼」じゃねぇ。海だよ。
　「ハマる」どころじゃねぇ。溺れ尽くすんだよ。

　俺の愛情深さはハンパじゃねぇぞ。
　底無しだからな。
　誰もわざわざ好き好んで後をついて来やしねぇからな。

映画『レ・ミゼラブル』

　まぁ中でも分かりやすい一例を挙げるとだな。
　映画『レ・ミゼラブル』にドハマりしたんだよ。

　おっと皆さんご存じのミュージカル版じゃないぜ？
　1999年アメリカ製作の、
　リーアム・ニーソン主演版だぜ？

　観賞直後に本屋に行って原作文庫本４冊組を買い込んだぜ。
　たまたまその時揃っていた新潮版では飽き足らず、
　岩波文庫版にフランス語版、
　黒岩涙香訳の復刻版に、
　みなもと太郎氏の漫画版まで手に入れたぜ。

　エンディングロールと同じ景色を見たいがためだけに、
　約10年以上の貯金と丸一年のバイト代をはたいて、
　フランスはパリのシテ島まで旅立ったぜ。
　もちろんついでにイギリスに渡って、
　現地のミュージカル版『レ・ミゼラブル』も観賞したぜ。

　もはやオタクやマニアですらねぇ。
　エンスーだろお？

リーアム・ニーソン

　主演のリーアム・ニーソンにもドハマりしたからな。
　彼がクワイ・ガン=ジンを演じる以前だぜ？
　2000年当時の日本国それも九州まで届く彼の情報なんざ、
　書店・CD店ですら皆無に等しかったぜ？

　前述の映画『レ・ミゼラブル』すら映画雑誌には、
　「クレア・デインズ主演」と紹介されていたりしたしな？

　そんな状況でも彼を見つけ次第、
　どんな端役であっても、
　映る時間が正味５分であっても観賞しまくったぜ。
　実は名だたる名作『ミッション』に、
　Ｂ級映画の大御所『ダークマン』もあってビックリだぜ。

　余談になるが助演だったジェフリー・ラッシュも同様だ。
　彼がバルボッサ船長を演じる以前だぜ？

　マルキ・ド・サドまで演じてくれやがったから、
　しばらくはサド侯爵やオスカー・ワイルド、
　夢野久作辺りにもハマったぜ。

ヴィクトル・ユゴー

　もちろんだが『レ・ミゼラブル』の原作者である
　ヴィクトル・ユゴーにもドハマりしたぜ。

　2000年も過ぎた九州の表向き理系学部大学生の中では、
　文芸部であっても読んでる奴私しかいなかったぜ。

　部室に持ち込んだとて誰一人手を付けなかったぜ。
　ああそりゃあみんな恩田陸先生に西尾維新先生に、
　清涼院流水先生に読みハマるさ。もちろんだとも！

　誰も知らねぇ『海に生きる人々』に涙したからな。
　エミール・ガレのガラス作品に刻印された、
　ユゴーの一説もちろんフランス語すら、
　解説見るまでもなく読み解けるっちゅうねん！

　誰に自慢できる機会すらも無いけどな！

その他もろもろ

　他にもまぁざっと今思い付くだけでも、
　ミヒャエル・エンデ沼だったり、
　スティーブン・キング沼だったり、
　坂口安吾沼だったり宮川香山沼だったり、

　能・狂言に落語は片足程度だとしても、
　それらをきっかけにした曲亭馬琴沼だったり、
　そもそもの始まりは江戸川乱歩沼だったり、

　おっとスカパー！様相手に忘れちゃいけない。
　日頃から大変お世話になっております。
　キミ・ライコネン沼に我らワールド沼もございました。

　沼は奥深くで繋がり合って、
　既に海だと断言しよう。
　皆様好きにハマるがよろしいが、
　侮るなかれだ。
　

#ハマった沼を語らせて