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サイデンティティ

 ♪忘れようと覚えようと問い質すけど死にはしないさ

 川谷絵音(@ゲスの極み乙女。Vo.)さんは
 じっくり読み込むと結構心に染み込む詩を書くと思う。

 ♪どうせ僕と同じでしょって言った後ですぐに後悔してしまった


 生きていたいなどと望む事も許されないほどに、
 自分は他よりも甚だしく劣った存在なのだと、

 頑強に思い込まされてこれまでを生きてきたんだが、
 いい加減でソイツを使わないようになりたいんだが、
 こうした感覚って振り子みたいなもんで、
 一旦遠ざかっても例えば親からの電話があると戻ってくるので、

 思い込まされちまったもんはしょうがねぇよなって、
 全力で放置するぜ。

 親だけのせいでもない事は百も承知なんだが、
 「男子を産まなければ嫁失格」とか教えてきた母の一族に、
 「女子に生まれるなんてこの子は悪魔の子だ」って、
 現実に私が生まれて以降連絡を取らなくなった父の一族、
 つまりは故郷の集落全体に色々と深刻な問題があるんだが、

 そんな中でも祖父母は、
 一方的に縁を切ってくれた姉たちに、
 自分たちからわざわざ縁を繋ぎに行かないでくれたし、

 「親を恨んだってしょうがないよ」

 といった慰めに励ましも数多く聞かされてきたんだが、
 かつての私と、
 もしかして私と似通った生育環境にいた人たちのために、
 あえて言わせてくれ。

 「親を恨むのもしょうがないよ」


 生まれた時点でヒトと思われずに育てられた事実は、
 普通にヒトとして育てられてきた人たちに、
 いくら伝えようと話したって容易に伝わるもんじゃない。

 だから私は小説に変えてきたわけだ。
 もしかしたら有り得たかもしれない、
 人間として扱われていたなら存在した環境に周りの人々との関係性を、
 せめて脳内にくらいは作り上げていなくては、
 この世に生きていられやしなかったわけだ。

 息をするように小説を書いている、とは、
 何も格好をつけているわけでも比喩でもない。
 現実の私を取り巻く空気が呼吸も困難なほど息苦しい。

 私の場合はまず男性として生まれなくてはならなかったので、
 必然的に主人公は男性が多くなり、
 「母親」がいない状況下に置かれることにもなった。
 「母親」は私にとって私という存在を、
 顔に声に体つきに動作に性格の隅々まで否定して、
 「まともな子」を願うだけの人だったから。

 「母親」が存在しないか母親らしく書けていないと、
 一般的な読者感覚からは激しく遠ざかるのだが、
 それもやむなし。

 「飯を食わせてくれた」有り難みはあっても、
 そこに自分への愛情を感じるかとは別問題だからな。
 出来合いのお惣菜だろうと調理済み食品だろうと、
 日頃から相手をヒトとして見てりゃ問題無いよ。  

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