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諸問題ここに煮詰まれり(映画『太陽』)

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 これを観ずして、

 映画について、
 ロシアについて、
 昭和天皇について、

 何事を語れようか、
 とまで私は思っているんだが。

(文字数:約1200文字)


  『太陽』 2006年
    ロシア、イタリア、フランス、スイス
    アレクサンドル・ソクーロフ監督
    イッセー尾形、桃井かおり、佐野史郎


第七芸術劇場

  大阪市は淀川区十三に、
  第七劇場という、
  とんでもなく独自センスの、
  ミニシアターがあるんだぜ。

  そこで上映されていた作品なんだが、
  これは今こそ全世界に向けて、
  広くお勧めしたい。


ロシア人監督が撮った昭和天皇

  それも第二次世界大戦の最中、
  1945年8月15日、
  直前の数日間の暮らしぶりをだ。

  その時点で私はそそられまくる。

  昭和天皇をイッセー尾形、
  香淳皇后を桃井かおり、
  侍従長は佐野史郎という、
  極端に削ぎ落とした配役で、

  天皇のお住まいも地下なのか、
  飾り気がほとんどない。

  そんな地下空間があるはずがない、
  そんな生活をしていたはずがないと、

  日本人の歴史好きはついつい、
  当時の資料を元に、
  批判的に鑑賞してしまいそうだが、

  こと第二次世界大戦時の天皇と、
  その存在については、

  大日本帝国民とその末裔よりも、
  諸外国からの目線の方が、
  冷静かつ的確だ。

  単純に類型的に伝えられがちだが、
  フランク・キャプラ監督による、
  大戦当時のプロパガンダ映画でさえも、

  ヒトラーやムッソリーニと、
  同一視などしていない

  本当だ。

  同一視されたように解釈してしまうのは、
  実は我々側のやましさによる所が大きい。

  隅々までの鑑賞や、
  相手側の言説にしっかりと耳を傾ける事を、
  難しくさせてしまうからだ。


そこには常にただ人がいる

  イッセー尾形さんに佐野史郎さんは言わずもがな、
  ラストの桃井かおりさんが物凄い。

  ただ数秒の表情ながら、
  今だに夢に出てきそうだ。
  そこに監督は万感の思いを込めた。

  少なくとも文化芸術面において、
  ロシア人は野蛮でも愚鈍でもないと、
  はっきり言い切れる。

  それなのになぜ世界は、
  今のこの戦争を止められないのか?

  それだからこそだ。

  悪の権化と見てひと思いに、
  叩き潰せはしないからだ。

  つまり「ひと思いに叩き潰せる」と、
  目論めた時こそ疑え。


  私はザポリージャ原発への攻撃に怒り、
  ウクライナの国土回復が一日でも早かれと望むが、
  大日本帝国民の末裔として、
  心はロシアの庶民に寄せている。

  2022年2月24日から一貫して、
  今後も機会があるたび書き残し続ける。

  世界中が敵に思える感覚を、
  かつての我々の祖先は、
  味わい尽くしていたはずだ。

  表明するか否かは各人に任せるが、
  きっと一人一人が考えておいて良い。

  当時の祖先が今目の前にいたなら、
  さて何を訴える?
 

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。


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