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『サッ○ロ一番』は命の味

 ある程度よりも貧しい生活を、
 人生の一時期にでも余儀なくされた方々には、
 おそらくそれぞれに、

  「命の味」

 とでも言い表せる、
 食材・食品・メニュー等をお持ちのことと思う。

 私の場合はそれが、
 『サッ○ロ一番』だ。


 みそラーメンと激しく迷ったが、
 ここは塩ラーメンを選ばせてもらおう。
 なぜならば、
 みそラーメン特有のふくよかな味わいに対して、
 私は既にオトク感すなわち高級感を抱けてしまっている。

 命を繋いだ感覚はまさしく、
 塩ラーメンのさっぱり感こそがふさわしい。


 出身も関西であればきっと、
 『チキ○ラーメン』がそれであっただろう事は、
 想像に難くないが、

 文化系と言えども育ち盛りの中高生女子の、
 夕御飯に使用出来る食材として、
 台所中には野菜も卵も存在せず、
 純粋に袋麺単品しかないという現実において、

 あのちるちる波打つ麺の口当たりが、
 どれだけの「食べ物いっぱい感」を演出し、
 満腹にはならねど満足感を錯覚させてくれた事か!


 ところでこうした「命の味」の存在にも、
 男女差があるように(かつてはあったように)、
 私には感じられておりまして、
 男子であれば苦労話あるいは笑い話になるけれども、
 女子なら女子なんだから自分で作れば良いのに、
 などと冷笑気味に片付けられた経験が、
 私にはありましたが、

 一家でわりかしギリギリの生活をしているとだな。
 調味料自体が基本の「さしすせそ」オンリー。

 家族がそれぞれに食材を購入できるだけの金銭も無ければ、
 購入できた品の裁量権も、
 台所に電気・ガス・油の消費権も、
 基本的に与えてはもらえないんだよ。

 現在もサッ○ロ一番シリーズは食しますけれども、
 袋麺オンリーにするのは、
 よっぽど調理がめんどい昼くらいで、

 夕飯の場合は、
 たとえ配偶者から「袋麺でいいよ」と言われたとしても、
 意地でもトッピングに副菜は付ける!
 当時の「命の味」と悲しみが甦るから!


何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!