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ペイント大全ショウケース:シャドウ パート3(多色光彩:マルチカラー・グラデーションのローブ)

よくぞ来た。前回のショウケースでは1体目のシャドウを「黒ローブ」で仕上げたね。もう一体のシャドウは、また違ったアプローチでローブのペイントをすすめよう。

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1体目のシャドウは腕を差し上げているポーズだったけど、こちらは両手を下げ、顔は下を向いている。いかにも「登場直後」な感じ。ペイントしていない状態ですでに、全身から不気味なオーラを漂わせてるね。もう片方のシャドウに比べると“触手”部分が多く、実体化の途中のようにも見える。俺はここに着目した。上半身に色を入れつつ、下にいくほど黒に見えるようにペイントしようと思いついたんだ。滲み出した影がのたうち、やがてフードを目深にかぶったおぞましい人の形をなすさま……これをぜひ表現したいと思うんだよね。

**シャドウはアンデッドなのか、アンデッドじゃないのか**
俺が構築し続けているファンタジー世界「ハルクウーベン」において、シャドウは〈深淵〉と縁深い存在であり、アンデッドではない(だから、その姿に欺かれた聖職者が不死者祓いを試みようと、それは無残な結果となる)。俺が〈深淵〉系のミニチュアをペイントする時は、よく「青みの強い緑」をテーマカラーにする。君の世界でシャドウが何者かは、君の好きに決めてくれ。

実際のペイントに入る前に、今回のキモとなる多色光彩(マルチカラー・グラデーション)について紹介しておこう。

マルチカラー・グラデーションの話

ミニチュアペイントでは、「色の帯」を使って、ミニチュアの凹凸や陰影を強調するのがキホンだ。例えば「青」をペイントする場合、ベースカラーに「青」、シェイドに「暗い青」、ハイライトに「明るい青」を使い、その色の境目がうまくボケるように、カラーを重ね塗りしていく。

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基本となる色(ベースカラー)だけでなく、凸部や光の当たる部分には明るい色(ハイライト)が、凹部や影になる部分には暗い色(シェイド)が入る。明暗を全部合わせた「色の帯」が、そこの「色」を決定づけるのだ。

だが君は、青⇄赤、黄色⇄紫、赤⇄緑など、色彩の明暗ではなく、色相をまたぐタイプのペイントを見たことがあるだろう。これが多色光彩(マルチカラー・グラデーション)と呼ばれるもの。ちなみにこれはテクニックではなく、「どんな色で塗るか」というアプローチだから、ドライブラシやレイヤリングなど、様々なテクを使って実現できる。

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