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ペイント大全マスターズ:色の仕組みと配色

よくぞ来た。今回のペイント大全では、ペイントテクニックや作例ではなく、「色」の仕組みと配色についてじっくり話すとしよう。ミニチュアペイントは、当然、ミニチュアに色をつけるよね。だから俺たちのホビーでも「色」およびその「組み合わせ」はすごく重要だ。ペイント大全では今まであまり話してこなかった部分だけど、よく聞かれるので今回じっくり解説するよ。

プロローグ:色ってふしぎ

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色と言うのは不思議なもので、俺たちの肉眼が認識できる光の反射によって生じる視覚的な情報の数々が、様々な文化のそれぞれ長い歴史の中で名付けられ、解析され、分類され、意味を与えられ、ガクモンしたりフィールしたりしてきたものだ。

色は単体だけでなく、多くの場合組み合わせで用いられる。それには、文化的、宗教的、政治的、心理的、デザイン的、社会的、あるいはそう言うのが混ぜ合わさった認識として「合う」「合わない」「ふさわしい」「好ましくない」とかが決められており、オチョロコイ財団とかウペペンコ協会と言ったケンイ的集団とかが試験をやって、高い得点を取った人にコッカ資格をあげたりする。それだけ発展した学問分野であり、また俺たちの社会活動に密接な関係があるということだ。

服飾、家具調度、小物、絵画など、意匠を伴う造形物につきものなのが「色」だ。工業デザインや広告、出版、あるいはウェブ関連などでも色の果たす役割は大きい。はっきり言って、なんでもかんでも、そこには色およびその組み合わせがついてくる。

「色」。それは俺たち人間を深く魅了し、そして時に拒絶してきた。様々な人々により、幅広くかつ深い研究がなされてきたし、様々なノウハウもある。教育分野として成立するだけの深さもあるわけだけど、それは同時に、むちゃくちゃわかりにくく煩雑なものになったと言うことでもある。

君も学校で教わったことがあるだろう。美術系の学校でなくても色について教える。そして大抵それは押し付けがましい授業だ(全部とは言わない。素晴らしい先生は学校にも勿論いる)。しかし、指導要項で「こう教えろ」と言われたから教科書通り教えている(つまり自分でも理解していない)先生の授業が、美術・芸術を嫌う人々を大量に生んでいることは事実だ。

生徒の「なんで?」に答えられない先生に「そう言うものだからです」と押し切られるので、ちっとも理解ができず、そのまま美術・芸術を縁遠く感じてしまう人のなんと多いことか。実に悲しいことだ(俺が描いた赤いカーテンの陰影に入れた深緑を、「中学生らしくない」と言うふざけた理由で茶色に塗りつぶさせたあの教師を、俺は今でも許していない)。

今回は、俺の知っているいくつかのセオリーや、俺が今まで身につけたアプローチをシェアしようと思う。これらはルールではない。あくまでもガイドライン、すなわち指針だ。知識は使うもの。使われないように注意しよう!

前置きが長くなったね! それじゃあ行ってみよう!

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