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ペイント大全マスターズ:毛皮(前編)

よくぞ来た。今回のテーマは「毛皮」。オールドスクール・ファンタジー世界でよく見かける素材の一つだ。普段はドライブラシとかで手早くペイントすることも多いんじゃないかな。実際ドライブラシはすごく効果的なペイント法で、80年代からずっと「毛皮はドライブラシの独壇場」と言われてきた。フラットペイントしてから段階的に何色かのドライブラシをするだけで、立体感バッチリの毛皮がサッと手早くペイントできるからだ。一番奥まったところに部分的にシェイディングをかけてやれば、ガッツリと陰影も表現できる。

例を見せよう。

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ドライブラシで脚の毛皮を仕上げたグレーター・バグベア。暗めの茶色でフラットペイントし、シェイディングで陰影をつけ、茶系のより明るいカラーで何段階かドライブラシすれば、手早くカッチョいい毛皮の完成だ!


「じゃあ、今回は、シェイディングとドライブラシの復習だけ?」 NOだ。毛皮とはつまり獣の皮だから、部位によって色が変わったりするよね。背中側は黒くて、腹側は白っぽいとか、そういうのがペイントで表現できたら楽しい。カギになるのは、ブロッキングによるベースコートとステイニング、そしてジュースシェイディングだ。00年代中頃からドライブラシだけに頼らないこの手法が出てきて、俺自身、今でも試行錯誤を繰り返している。

今回は「マスターズ」ということで、俺が毛皮を現在どうペイントしているかを、前後編で省略なく見せる。 確かにドライブラシも使うけど、その他のテクを使う方が多いね。それぞれ個別のテクとしては解説済みだけど、実際の順序や使用カラー、コツを改めて見てみよう。

「ペイント大全マスターズ:毛皮」。この前後編で君は:

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黒から茶色を挟み、乳白色へ毛並が移り変わる毛皮を
リアルにペイントする方法を学べる。

それじゃ、いってみよう!


想像してみよう:ファンタジー世界と毛皮

現在では、動物愛護とかそういうなんかの色々で毛皮の衣類はあまり見なくなった。けど、俺たちの世界がつい最近までそうであったように、オールドスクール・ファンタジー世界においても、毛皮は、厳しい寒さや雨雪をしのぐ衣服として、貧富の差はむろん、民族、国家、種族の壁までも越えて用いられる。防寒具としてだけでなく、装飾品としても、毛皮は多用されてきた。

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