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5.単語トレーニングで語彙力増強

 今回は単語の修得、語彙力増強について書きます。

たくさんの英文を読み込み、音読していくことで、英語力は上達していきます。しかしある程度のところで、必ず壁に突き当たります。それが語彙力の壁です。

・英文を読み、構造は理解できるが、動詞の意味がわからない、目的語の意味がわからない

・英文を聞いて、音は聞き取れるし、構造も把握できているが、単語の意味がわからない

これらは語彙力不足によるものです。
(リスニングの場合、話者の発音の関係で聞き取れない場合もあります。それは事前にしっかりと発音トレーニングを行うことでほぼ回避できます。発音トレーニングは話すだけでなく、聞くためにも重要です。)

単語については、学習ロードマップに記載したとおり「発音トレーニングを終え、音読と英作文トレーニングがある程度進んだ段階」で開始してください。あくまで目安ですが、TOEICのスコアだと500~600点に到達してから開始することをお勧めします。なぜならば、それ以下の時点で始めてしまうと、出てくるのが知らない単語ばかりで、学習の進行に著しく支障をきたすためです。
(なお筆者は、TOEIC 595点時に単語修得を開始しましたが、後述の教材で8割~9割の単語がわからない状態でした。単語をひたすら覚える機械的作業が苦手で、避けていたため、語彙力だけが大きく遅れを取っていた状態でした。)

本記事のコンテンツは、以下の通りです。
1.使用する教材
2.単語学習の具体的なやり方
3.トレーニングのコツ、注意事項
4.まとめ

【1.使用する教材】

 これまでの記事では教材をいくつか紹介してきましたが、今回の単語学習においては必須教材を1つだけ紹介します。「Duo3.0」です。この教材を徹底的に使い倒します。

Duo3.0

この教材の特徴は以下の通りです。

・良く使われる単語・熟語が選択されており「覚え損」がない。
・発音記号、用法、例文、類義語、活用形などの周辺情報が豊富に記載されており、多くの単語や表現を有機的に関連した状態で修得することができる。
・例文が自然で、ストーリー仕立てになっており覚えやすい。しかも一度出てきた単語は二度と登場しないため、重複作業が発生しない。

特に素晴らしいのは例文で、音読素材として非常に適しているため、必ずCDも併せて購入し、音読トレーニングの素材としてください。このCDはDuoの全ての例文を60分で読み上げるもので、全単語・熟語を60分で一周り復習できることになります。このCDを使わずに、書籍だけで単語を暗記しようとしてしまうと、他の単語集と同じような結果しか得られなくなってしまいます。

Duoの例文でリピートやシャドーイングを行うと、英文全体の意味を覚えるため、その中にある単語の意味が思い出せないときでも、例文の意味から単語の意味を思い出すことができます。これにより語彙の定着率を劇的に向上させることができます。

Duo 3.0 / CD復習用

私はこれまで数多くの英語教材を手に取り、試してきましたが、上記の理由からDuo3.0を超える教材にこれまで出会ったことがありません。英語教材を1つだけ選ぶとしたら、私は間違いなくこの「Duo3.0」を選びます。無人島に一冊だけ持っていけると言われたらDuoを持っていきます。笑

単語習得は、一般的に退屈な部類のトレーニングにはなりますが、CDと組み合わせることで、Duoにはそれを大幅に緩和する仕組みが備わっています。また、Duoの単語を修得した後は、英文の読解やリスニングにおいて、以前とはまるで異なる景色が見られます。ぜひ、Duoを使い倒し、実戦で使える単語・熟語を修得してください。

【2.単語学習の具体的なやり方】

 学習の具体的なやり方を解説する前に、まずDuoのスクリーンショットで記載内容の説明を行います。各記号の意味は、Duoの冒頭に記号・ページの説明がありますので、それを参照してください。()や[]、~や…など、各記号に学習のための意味が定義されています。

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A 例文:単語の重複なし、自然な文体、次の例文と意味が繋がっている

B 単語:意味だけでなく用法、活用形、類語まで網羅

C 頁末尾:次のページにまたがらないよう配置されているため、見やすい

それでは具体的な学習方法について説明します。通常の単語学習では、単語や例文の意味をひたすら覚えていきますが、本記事では、以前にアップした音読トレーニングをベースに「音読により例文を自分のものにする」そして周辺知識として「単語の意味、用例、活用形を理解する」ことを軸に進めていきます。

学習の手順:

①ページ内の情報(例文、単語のスペル、意味、発音記号、文法事項、類義語、活用形)を全て読み、一旦理解する。ここで全ての情報を覚える必要はありません。

②ページ内の例文に対して、読み上げ、リピート、シャドーイング(*)を組み合わせた音読トレーニングを行う(前記事:音読トレーニング を参考)。CDをフル活用してください。

③単語を見て意味がわかるかチェック。例文の日本語訳を見て英文が口からスムーズに出てくるかチェック。失敗したら①へ戻る。成功したらそのページは一旦完了。

(*シャドーイング:音声を聞きながら、即座に復唱してついて行くこと)

上記①②③を基本ステップとし、これを繰り返します。
Duoはセクションが45あり、最後まで通しで行うと一週がとても長くなってしまうので、いくつかのパートに分けて回すことをお勧めします。以下は9セクションずつ、全5パートに区切った場合を例に説明します。

まずパート1(セクション1~9)に対し、上記の基本ステップ①②③を行います。セクション9の末尾まで完了したら、セクション1の先頭に戻り、再度基本ステップ①②③を行ってください(2週目)。
2週目に入ったとき、1週目で覚えたはずの単語や例文をさっぱり忘れてしまっていると思いますが、決して諦めないでください。音読をきちんとやり、5週もすれば覚えられます。音読最強です。

上記の要領で、パートごとにサイクルを回していってください。では次のパート2(セクション10~18)に進むタイミングはどこかというと、「自分が基本ステップの③(単語の意味と例文のチェック)を一発クリアできるのにかかったサイクル回数X2」と考えてください。
例えば、5週目で③のチェックを一発クリアできた場合、さらにもう5週して、10週完了した段階で次のパート2に進んでください。これで記憶が定着します。
10週は長い、と思われるかもしれませんが、後半はもう覚えている内容の復習を行うだけですので、驚くほど速く完了できます。1週目を完了するのに1週間ぐらいかかっていたとしても、10週目は30分ぐらいで終わったりします。音読最強です。

こうしてパート5(セクション37~45)まで完了したら、最後に全て通し(セクション1~45)で基本ステップ①②③を行ってください。つまづいた所があれば、その箇所に印をつけ、重点的に復習してください。この全体通しも5~10週行いますが、この段階では既にテキストの大部分が身についているため、スピーディに完了させることができます。

全体の通しまで完了させたら、Duoのテキストとしての役割は一旦終わりです。今後は辞書として、単語の意味とそれにまつわる周辺情報の確認に活用してください。

その後はCDを使用した復習を行います。60分で全ての例文を復習できるため、CDを聞きながら、例文の意味や構造を意識しつつ、シャドーイングを何度も行ってください。当面の間、音読素材はDuoのみで十分です。フリーソフト等を使用して読み上げ速度を早くすれば、45分や30分で復習することも可能です。慣れてきたら試してください。

【3.トレーニングのコツ、注意事項】

 上述の通り、Duoを使用したトレーニングでは単語の意味修得よりも、例文の修得にフォーカスしています。しかし同時に、ページ内には単語・例文の意味だけでなく、発音、活用形、類義語などの情報もふんだんに盛り込まれています。これらも周辺知識として修得すると、英語力を飛躍的に伸ばすことができます。特に類義語は重要で、似たような意味の単語を複数関連して記憶しておくことは、会話において非常に役立ちます。例えば相手に同意して「その通り」と言いたいときに、"Yes"だけでなく、"Right" "Correct" "Definitely" "Exactly" "Absolutely"など複数の表現が瞬時に思い浮かび、状況に応じて適切に使い分けることができれば、会話の幅がぐっと広がります。私は類義語の表記が乏しい単語については、自分で類語辞典を調べ、横に書き込んでいました。

また、Duoはあまりにも情報量が多いので、何度も繰り返して徐々に記憶に定着していきます。一度のサイクルで覚えようとせず、必ず「浅く、広く、何度も」繰り返してください。これが人間の記憶の仕組みに合っていて、サイクルを繰り返すと自分でも不思議なぐらいに定着していきます。テキストが完了しても、CDで復習を繰り返すことを忘れずに。

【4.まとめ】

本記事のまとめです。
・Duo3.0は単語集の枠を超えた、最強の英語教材
・CD音声と併用し、音読素材としても活用
・「浅く、広く、何度も」繰り返して定着させる
・類義語を中心に、周辺知識も併せて習得する
・学習の基本ステップは以下の通り
①ページ内の情報(例文、単語のスペル、意味、発音記号、文法事項、類義語、活用形)を全て読み、一旦理解
②ページ内の例文に対して、読み上げ、リピート、シャドーイングを組み合わせた音読トレーニングを行う(前記事:音読トレーニング を参考)
③単語を見て意味がわかるかチェック。例文の日本語訳を見て英文が口からスムーズに出てくるかチェック。失敗したら①へ戻る。成功したらそのページは一旦完了
・全体を5つのパートに分け、パートごとにサイクルを回す
・次のパートに進むタイミングは「自分が基本ステップの③(単語の意味と例文のチェック)を一発クリアできるのにかかったサイクル回数X2」
・パート5まで完了したら、最後に全て通し(セクション1~45)で基本ステップ①②③を行う
・全体の通しが完了したら、CDを使用した復習を行う(主にシャドーイング)


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