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お金の詐欺に会いかけた話

お金に対する危機感

私は現在、小学生3人を育てる母親である。
私がお金について考え始めたのは、つい最近の事だ。

きっかけは、子どもの不登校。
我が子たちは、3人兄妹、揃いも揃ってもれなく全員不登校となった。不登校についての詳しい話は、別段『不登校育児奮闘記』の方でお話していきたいと思う。

子どもが全員不登校になり、すったもんだあって、母である私は、気を病み、休職に追い込まれてしまう。

今は、傷病手当をもらい始めているのだが、今までの金銭感覚で買い物を続けていたら、月末にカードを止められてしまった。
買い物でクレジットカードを切ったら、エラーが起きて、決済されなかった。そこで初めて気が付くことになる。

やばいぞ。と。

贅沢品は買っていないし、普通に生活している認識だった。夕飯の買い物のついでに子どもたちにお菓子やアイスを買う程度。大きな変化と言えば、出勤時は電車を使っていたが、今は移動手段は車になったので、ガソリン代が支出に組み込まれたくらいだ。

いつもカード決済をしていたが、改めて給与口座の記帳に向かった。
まじか。。驚愕した。思っていたお金の3分の1しか入っていなかった。

お金について、真剣に向き合う時が来た。

お金の守り方講座

私のお気に入りのカフェで、『お金の守り方講座』が開かれるとインスタで発見した。お金に危機感を感じていたこともあり、参加してみることにした。

そこでは、『お金はリスクを分散して守らなければいけない』という趣旨の話をしていた。貯金の他に、株式や、債券、不動産を持つなどの手段を、一般の人は考えるが、しかし!

この講座でのエポックメイキングは、『預金を外貨で持つ』ということだった。

日本の少子高齢化による、経済成長率の見通し。アメリカのIT革命の発展。円安が進んで、ジンバブエや、アルゼンチンのような国家破綻が起きた時のリスクは。。
今の銀行に超低金利で、お金を寝かせて置いて安全か?今日の100万円は、1年後にも今の100万円と同じ価値を持っていると思うのか?

資産を『日本円』だけで保有していることのリスク、世界基軸通貨の『米ドル』をもつことの優位性を説明された。

なるほど。と深く納得した。

そこで、多くの日本人が、『日本円』しか持たない中、どうやって『米ドル』を持てばいいのやら。と疑問が浮かぶ。しかし、その疑問を残したまま、その講座は閉じられ、“アフターフォロー”へと導かれるのであった。

アフターフォロー

私は、米ドルを持つことに興味が沸いたので、アフターフォローに参加することにした。

別日に、同じカフェの一角で、1対1で若い女性とお話をした。
その女性は、日本人が日本人の為に立ち上げた、アメリカのネットバンクを紹介してくれた。

渡米せず、ネット一本で講座開設ができる事。外貨預金を持っても、日本人の為に開かれた銀行なので、日本語のサポートが得られて安心なこと。
ほう、と話を聞く。

そして、定期預金の金利が、年利5~8%であることを告げた。
日本の0.01%の金利と比べたら、よだれが出るほど魅力的だ。

そして、どうしてその様な高金利を銀行側が出せるのかを聞くと、その銀行は、ビジネスとしてフィリピンに貸し付けをしているとのことだった。

そのフィリピンでは40%の金利で貸し付け、貸付額の2倍の担保をとって貸しているので、借りた側が返せなくても、預金の金利5%は余裕で払えるというのだ。銀行は、その金利差(利ザヤ)で儲けているから安心だ。と。

闇金ウシジマくんの匂いがしてくる。とんでもない事が起きてそうだぞ。と思っていたところで、日本の過去の事例が出される。
日本のバブル期。貸付金利は40%くらいはあって、預金で7%の金利が発生していた時期がある。と。

それは知っていた。ばあちゃんが、「昔の銀行は良かった」と話していたのをうろ覚えながら記憶している。

フィリピンは今、とんでもなく経済発展が著しい国で、新規ベンチャー企業がどんどん出てきているのだ。と。そして、個人で挑戦したい人が、お金を借りて、ビジネスを始めるという風潮が強いので、この40%貸し付けも成り立っているのだ。と言った。

なるほどなるほど。
だから、このアメリカの銀行に預金を預ければ、安心して、自分の資産を金利で増やすことが出来る!と。銀行であれば、元本は当然保証ですよ!と。

マルチ商法の匂い

銀行の説明を受けながら、いいかもねぇ。なんて、漠然と考えていたとき。

更に金利を上乗せする方法が、この銀行では確立されているんです。と話を持ち掛けられた。アフィリエイトという制度を使うらしい。紹介手数料をもらえるよって話だ。

このアメリカのネットバンクは、日本に金融商売の許可を取っていないとのことだった。理由を以下に説明する。

例えば、アメリカの保険会社アフラックが、日本で営業できるのは、金融庁の許可をとって、店舗を日本に置いているから。その分、同じ保険商品をアメリカ(現地)で契約したら、もっと条件の良い保障が返ってくる。
日本という国に、手数料を引かれていて、その残りしか自分たちは受け取れない様になっている。

そこを省いたのが、私たちがお勧めする銀行です!!この銀行は、日本に店舗をあえて置かないことで、金融庁の搾取を受けない様に、丸ごとの享受が受けられるようになっています!と。だから、こうやって、思いのある人が、口コミで広げているのです。と。

そして、自分から派生して二人紹介すると、紹介相手が預金した額の5%の額が、報酬として自分の口座に入ってくるというのだった。下を増やせば更に更に。。。

税金が欲しい日本は、お金の取りこぼしが無いように、マイナンバーカードの施策も進め、給与の履歴を追えるように、『日本円で手渡し(本人の口座も可)』と法律で縛っています。
どんどん私たちの資産は管理されて、もう日本から逃げ出せなくなるんです。今が、法律を潜り抜けられる最後のチャンスの時期です。と。

その銀行は、暗号通貨と仮想通貨で『日本円』を『米ドル』に変換して預金しているということだった。


紹介しなくても、預金口座の金利でお金は増えるし、紹介も頑張れば報酬も入るし、自分のスタイルに合う方を、お選び頂けます。とのことだった。

マルチ商法や、ネットワークビジネス、ねずみ講。ウシジマくん。
怖い。けど、儲けたい。金欠の今、すごくおいしい話かもしれない。
チャンスの神様には前髪しかない!通り過ぎてからでは、何も掴めない!
なんて言うけれど。いまが、そのチャンスなのか??

ざわざわ。。ざわざわざわ。。。一発賭ける価値があるのか。カイジの世界に入り込んだ感覚だった。

銀行説明会の案内

時を置いて、そのアフターフォローをしてくれたアフィリエイターの女性から、詳しい説明会があるので、良かったら参加しませんか?と案内をもらった。

怖い気持ちもあったが、説明会に参加した。お金の問題をさっさと解決に導きたかった。
薄暗いビルの一角にある会議室。やっちゃったかもしれない。私、無傷では帰れないかもしれない。でも、ここまで来たのだから!とドキドキしながら入室した。

はじめにパワポで、芦屋にある会員限定1泊100万のスイートルームの写真を見せられる。この銀行紹介で上り詰めたら、こんな生活が待ってるよ!!と。会場がわっと盛り上がる。

サーっと血の気が引いた。周りをみたら、真剣にメモを取る人、談笑する人、様々。どうやら、初めて来た人と、常連さんがいるらしい。と。

この銀行説明会で、お金の基礎講座を受け、銀行の説明を受けて、『外貨を持つ』ということには、深く納得していた。けれど、どうしてもこの銀行に決めきれない。

この銀行を信じ切ってしまえば、あとは複利でお金が増える、素晴らしい世界が待っている。納得して進みたい!と講座後の飲み会に参加した。

参加者は20人前後いた。講師の先生も参加した。先生と話したいと思っていたら、先生が、私の前に座った。引き寄せた!と浮かれる自分と、気を付けろ!と警戒する自分がいた。

色々とお金の話をする中で、日本の社会情勢や、世界の国々の金融の歴史は大変に興味深いと思った。先生は世界を旅して、破綻した国もこの目で見てきたのだ、と話した。そこに嘘は無いだろうと思った。

そして、私は率直に疑問に思ったことを聞いた。
「先生は、どうして、この銀行を選ばれたのですか?」
すると返ってきた答えが、
「ここしかないから!」
というものだった。

え?世界を旅するあなたが?現地で口座開設できるあなたが言いますか?と。ふっと周りを見る。談笑が盛り上がっている。私の集中力がお金から切れたとい思われたのか、先生の隣にいた女性が、「先生、もうひとかた。。」と耳打ちした。先生は、「席移動しまーす!また、なんでも聞いてねー!」ともう一方の男性の方へ席を移した。

あぁ。私はカモかもしれない。。私とあの男性が新規で、ここに居るほとんどがグルだぞ。そう思った。

自分でどこまで考えているのか

私の前に、先生に耳打ちした女性が座る。とても笑顔だ。
「で。どう?」と聞かれたので、正直に答えた。ここで縁が切れたって、構う事はない。

「資産をドルで持つことについては、何の疑問もありません。しかし、銀行に関しては、決めかねている部分があります。」

女性は、笑顔を崩さず言った。
「良いのよ。選ぶか、選ばないかは自分次第。私たちは、知らないことは可哀そうだと思って、知識を教えてるだけ。選ばないならそれまでよ。ざんねんねぇ~。」

煽りが入ったぞ。と更に引いてしまう。その発言を受けて、こちらも攻撃的になってしまう。
「私は、考えているんです。もし、私がカモだったらって。皆さんがサクラで、私一人が新規なのではないかと思っています。あなたが、この銀行に資産を預けようと決めたのは、どうしてですか?」

すると女性は言った。
「私は、もう、確信をもったから。ここなら大丈夫だって。もう銀行が出来て3年になるけど、毎年ちゃんとお金が増えてるの。私たちは、カモだったかもしれない。けどね、何を信じるかで、カモが白鳥にもなれるのよ!」

ドン引きしてしまった。お金の話をしているのに、入信している話になっている。その確信をもった理由を聞いているのに、話にならないと思った。そしてまた周りを見る。
「先生~~」とグラスを交わし談笑している信者たち。

これは、やべぇやつや!!と私のアンテナが警鐘をならしている。

問題の整理

この銀行は、ちょっと胡散臭いぞ。と思い、色々と調べてみた。

ワシントンに籍があるというこの銀行。所在地をグーグルアースで検索してみる。オフィス街から裏通りに入った、レンガ調の建物が並ぶ一角を住所がさしていた。ネットバンクなので、オフィスを探す気はなかったが、逆にこの住所は何の住所なんだ?と思った。

フィリピンの銀行を調べてみる。高度経済成長中のフィリピン。国としての平均金利が知りたかった。
2%だった。2%???こちとら40%で商売しとる言うてんねん!明らかな闇金だった。

そして、外貨預金についても調べてみる。
外貨預金にペイオフは適応されない。(銀行が預金の1千万まで保証するというアレだ。)そもそも、日本の金融庁をすり抜けているのだから、ペイオフされるわけが無い。
もし、アメリカのネットバンクにとんずらこかれたら、私の資産は日本から守ってもらえないのだ。

しかし、腐っても銀行。原本保証はアメリカにもあるよ、と言われていた。でも、仮想通貨でやりとりしていて、ネットバンクで、アメリカ側が、アメリカの銀行としてペイオフしてくれる保障がどこにある?監査機関も通していないのに。もともとそんな銀行は存在しないよ♪と言われたら。
私の資産は泡と消えるのだ。

さらに私は、金融詐欺についても調べてみた。『ポンジスキーム』。旨味の部分(金利で増えた分のみ)を何年か出資者に払い、何年か後に元本を持ってとんずらこく、アレだ。まさにこのアメリカのネットバンクではないか!!

ヒー!!恐ろしい!!!

自分で調べれば調べるほど、疑いが増していく。

私は、この銀行には資産は預けず、外貨については別の方法で持とう、と結論付けた。


気がかり

カフェでこのお金の口座を開いてくれた主催者とお話をした。

彼女はシングルマザーで、お金に対して不安を持っていた自分が、この講座を受けて、今はお金に前向きに向き合えるようになった。と話していた。

お子さんが2人いて、登校渋りをしているようで、その講座内にお子さん連れで入室した。一生懸命働きながら、お金を守って増やしている、と。

彼女は、この銀行にお金を預け、金利からも収益を得るために、親御さんを勧誘して、家族で資産形成をしていると言った。


アフィリエイターの女性も、自分は慎重である、と話していた。疑問を全部、先生に確認して、シラミツブシに疑問を解決し、ここならば!と自信をもって勧めているのだ、と。

商品を売る人と、相談する人は分けなくてはならない。売りたい人は、自分の売りたいものを売ってくるんだ。自分が買いたいものを手に入れたいならば、相談するのは組織の外の人間でなければいけなかった。

彼女は言った。
誰に行っても反対されるのよ。でもね、反対する人を見た時に、みんな全然裕福じゃないの。富をしっかり築いた人の意見を聞こうって思ったんだ。と。

彼女もシングルで、障害をもつお子さんを育てていると言った。お子さんの将来の安定の為に、今一生懸命働くお母さんだった。

保険を解約して、家族の資産をつぎ込んだという女性もいた。
自分は証券マンで、外貨は絶対必要だと考えてこの銀行を使っているという人もいた。

みんな、親切に私の疑問に答えてくれ、自分の考えを話してくれた。いい人たちだった。

どうか、この話が、詐欺ではなく、本当にみんなの幸せの為に立ちあがった銀行であって欲しいと思う。何年後かに、失意のどん底に落とされる人が、誰ひとり出ず、みんなが幸せになれば良いな、と思う。


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