父と秋の交通安全の劇の練習をすることになりまして

父「タカシ!お前に朗報だ!俳優目指しているんだったよな?なんとお父さんが演劇の話持ってきたぞ〜♪」
タカシ「本当に!?どこで?内容は!?」
父「なんと、場所はお父さんの職場だ!」
タカシ「…。職場?何すんの?」
父「うん、お父さんの職場でな、交通安全の演劇をするんだよ。ほら、煽り運転とかアクセルとブレーキの踏み間違えとかすごいだろ?だから、社長が社員に意識付けをさせるって言うんだよ。」
タカシ「で、なんでお父さんが頼まれたの?」
父「なんでって、演劇の中でそういったアピールをしようと提案したからだよ。」
タカシ「へぇ〜。まぁいいけど。一応自分のためになるし。」
父「よし。じゃあ決定だ。とりあえず、アドリブで行こうか。タカシの実力が試されるぞ〜♪」
タカシ「アドリブ!?設定は?」
父「タカシは警察。お父さんが捕まる人の役だ。捕まる理由は…やっぱ煽り運転だな。社会問題になっているし。」
タカシ「分かった。じゃ、やってみるよ。」

タカシ(警察・以下略)「はい、そこ止まって〜。」
父(違反者・以下略)「チッ。」
タカシ「今の行為は、煽り運転に当たりますよ。」
父「煽ってねーし!」
タカシ「いや、でも急ブレーキや幅寄せをしていましたよね?」
父「車同士で相撲取ってんだよ!みんな大好き『車相撲同好会』のイベントなんだよ!」
タカシ「聞いたことねーわ!」
父「ちなみに押し出しで負けたところだよ!」
タカシ「負けてたの!?」
父「そうだよ…。負けたよ…。今日も負けたさ…。」
タカシ「そうですか。それは辛かったですね…。」
父:「おれにはな、妻と子供が四人いたんだ。車相撲で負けてばかりで、妻と子どもたちは家を出ていった…。」
タカシ「はぁ…。」
父「だから、おれはな!車相撲で勝って、横綱になり、また家族と楽しくすごしたいんだよ!」
タカシ「いやいやいや!ちょっと待って!なにその設定!?」
父「興奮しすぎじゃないか!?まずは落ち着け!深呼吸をするんだ! ヒーヒーフーだ。ヒーヒーフー。」
タカシ「ラマーズ法!?」
タカシ「えっ、この演劇は車相撲はありという世界線なの…?」
父「当たり前じゃないか♪」
タカシ「なにそのパラレルワールド。じゃあその設定で進めるか…。」

タカシ「まぁ、車相撲といっても相手に同意がないようだし、それは『妨害運転罪』といって犯罪なので」
父「そうなの!?」
タカシ「そうですー。ということで、免許証見せて。」
父「はい、どうぞ。」
タカシ「えっと。鈴木タカシ君。3年4組か。って、学生証じゃん!?」
父「罰金は、もちろんガク割で!」
タカシ「効くかっ。」
父「そうなの!?」
タカシ「…。警察の私にはむかうような態度をとっていると」
父「そんなっ!ハム買いません!ソーセージ買ってきます!」
タカシ「ハム買うじゃなくて歯向かうだよ!というか、なんでソーセージ買う!?」
父「ソーセージで罰金の支払いを」
タカシ「できないよ!はぁ…。早く免許証出しなさい。」
父「すみません。これです。」
タカシ「よし。じゃあここに拇印して。」
タカシ「よし。じゃあ、ちゃんと罰金払うんだぞ。」
父「はい。分かりました。」
父「あの。」
タカシ「ん?どうした?」
父「この罰金って、ハムならいいってことですよね?」
タカシ「ダメだよ!」

マガジンでまとめています。
https://note.com/herohisa/m/m5c261a316

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