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cullen the transporter extra stage #9

前 回
「犯行集団の首魁はA・Kと名乗っている模様!繰り返す!直ちに追跡・奪還行動へ移行されたし!」

 


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 「以上が被害の全容です。それでは本騎士団は第2騎士団の代理任命に基づき、宝物庫修復及び警備の任にあたります」

 「うむ、大儀であった」

 「いやいやいやいや、まさに大胆不敵とはこのことですな!断崖絶壁で足場を蹴り崩しているのと何ら変わらない!」

 「”ぴーでぃー”殿、この事態にさすがに不遜が過ぎましょう。『冒険者』はこの世界の何処にいようとも何をしようとも、”我々が責任をもって管理する”あなた様はそう仰ったではありませぬか」

 「いやいやいやいや大臣殿!しかし!しかしですな。お話を聞けば今回の被害品、我々にすら秘匿にされていた召喚術式とのこと。ゆえに我々も当該エリアを『冒険者の侵入禁止区域』に設定できなかったのです。やはり付き合いというのは何事もオープンにいかなくてはなりませんね!あっはっはっは!!」

 「笑いごとでは...!!」

 「もうよい。しかしぴーでぃー殿、これは『冒険者』による不始末じゃ。となれば、妃の言うように、一次的にはそちらに対処を任せるほかない。無論協力は惜しまぬが」

 「もちろんでございます陛下。現状、原因不明の障害により、犯人とおぼしき冒険者の登録抹消には至っておりません。しかし、そのサブアカ...平たく言えば限りなく分身に近い使い魔ということになるでしょうか。それらについては一部を除き全て始末が済んでおります。」

「一部というのは?」

「はい。わたくしどもと同じ”被害者”ということになるのでしょうな。えーっと......ただいま第2騎士団の手引きでこちらへと馬脚を速めている最中のようでして、我々としてはこの者たちが犯人誅滅への有力な戦力になると考えた次第でございます、はい。」

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「さっきまでと違って揺れが少ない、というか揺れが無いのか?これ?」

「ええ、地面から少し浮いたところにまっすぐな空気のカーペットを作って、その上を馬車に走らせてるからね。実質空を飛んでるのと一緒よ。年に1回も見られない特別快速便。ま、山をひとつ超えるだけで王都の貴族区に家が買えるだけの金貨が吹っ飛ぶんだけど」

「なるほど、天狗痛に悩む君には素晴らしい朗報じゃないか。そのまま静かに横になっているといい。私は素晴らしい景色を美しいレディと楽しむとしよう」

「時速100キロ以上は出てるのにか?」

「フッ、我が友よ、君はエルフの動体視力を甘く見過ぎている。さあお嬢さん窓の外を」

「一面の荒野だけど」

「あっ、あそこに何か影がッ!」

「ただの岩だけど」

「あれは遺跡!?」

「潰れた街道宿」

「あそこにカワイイな生き物が!」

「バジリスクの子供」

「あっ」

「はい丸薬」

「ああ、レディよ貴女は心まで美しい!」

「休ませたいのかそうでないのかハッキリしろ。ああ、揺れないのなら辛い麺をくれ」

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#10へ続く

今回のヘッダ画像(切手部分以外)は きょくなみイルカ@ロゴ作成中@42space_pol さんに作成していただきました!

ありがとうございます!
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