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我以外皆死也

 ある日、日本全国の”し”が”死”になった!
 「横浜死」! たちまちのうちに人口370万人超が死亡!
 「千葉死」! 死亡!
 「大阪死」! 死亡死亡!
 「札幌死」! 死亡死亡死亡! 
 「福岡死」! 死亡死亡死亡死亡! 
 とにかく市と名乗る自治体は全滅!
 
 「医死」「看護死」! 医療機関壊滅!
 「教死」! 教育機関も壊滅!
 「弁護死」! 検察官のやりたい放題だ!
 
 「ねこ」! ネコに変化はない!
 
 「死万十川」! 血肉が流れる地獄の河川!
 「死か」! 奈良公園も惨劇の舞台に!
 「宣教死」! 宗教は広まらない!
 「死死」! ライオンは二度死ぬ!
 「製死工場」! 紙ではなく死が生産される!デスファクトリー!

 「死ルバー」! ルバーという人が本当に死んだか確認は取れていない!
 「死チュー」! キスをするリア充が餌食に!
 「手品死」! 箱の中に入って剣で刺すやつとかで死ぬ!
 「コ死ヒカリ」! コを殺す光が米から放たれる!
 「孔死」! 誰も論語を読まない!
 
 「いぬ」! イヌにも変化はない!

 この緊急事態に政府は特別対策本部を設置。
 原因究明と解決を試みたが……

 「代議死」! 衆院議員が全員死亡!
 国はさらなる恐怖と混乱に陥った!

 「死ーフード!」 海産物はフグの300倍の毒性を持った! 
 「三国死」! 魏も呉も蜀も滅んだ!
 「運転死」! 公共交通機関も動かない!
 「死人」! ポエムも作れない!
 「疑問死」! 疑うことを忘れる!
 「楽観死」! でもポジティブにはならない!

 「ねこ」! ネコは変わらない!

 
 「では、当法案に賛成の方はご起立願います」
 ──東京・永田町。
 臨時国会では日本の命運を決するであろう新法案の決議が進められていた。
 『”せい”を”生”と置換する法律』である。
 だが、議場に何者かの声。
 「聖にしたほうがいいんじゃないか!」
 どよめき。
 「では、決を採ります」

《続く》


 

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