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灰色の街なんだよ

6月1日、沖縄は月の初めから荒れ狂っている。台風2号が直撃!サンエーやかねひでなど、軒並みスーパーは閉店時間を早めた。今開いてます!のユニオンが開いているくらいではないだろうか。台風の日にもかかわらず、ありがとうございます。

台風の日の思い出は以前に書いているので、今日は窓の外に見える景色の話をしよう。
雨の日もそうなのだが、台風の日は特に、窓から見える外の景色が灰色に見える気がする。
風は窓の隙間から入り、甲高い音を響かせるし、雨は窓を強く叩いて、バチバチと音をたてる。
家全体に、その音が響き渡るものだから、子どもの頃は恐ろしかったのを覚えている。
中学生くらいになると、怖いという気持ちは無くなった。しかし、何か物悲しい気持ちが、僕を支配していたように感じる。

その理由が、灰色の街だ。

沖縄は、基本的に青空が広がる「陽」のイメージがある。色鮮やかな花々が、澄んだ青空をバックに咲いている。
雨の日でも、子ども達のにぎやかな声や、人々が通りを行き交う姿が見えるので、それほど「陰」のイメージを感じない。僕にとってはだけど。
しかし、台風の日だけは違うようだ。聞こえてくるのは、雨と風の音。時折、バイクや自動車のエンジン音が遠くから微かに聞こえるだけ。子ども達は当然のことながら、大人の姿も滅多に見かけない。
窓から見えるのは、色褪せた風景だけだ。どんよりとした空、強風でねじ曲げらえた花々、雨だけが荒ぶって各家の窓や扉を叩いて回っているような感覚。
雨にけぶった外の世界は、灰色一色のように感じられる。あらゆる色が抜け落ちてしまったような灰色の街。
人の姿もなく、すべての機能が停止してしまったのではないかとさえ錯覚してしまう。
台風が連れてきた灰色に僕自身さえも侵食されるような気持ちになって、物悲しくなっていたのかもしれない。
と、40歳を超え、今更ながらに感じている。

台風が過ぎ去れば、灰色の街から、再び明るい沖縄の日常が帰ってくる。何だかんだ言って、やはり沖縄は明るくあってほしい。悲しい記憶のある島だからこそ、明るくあってほしいのだ。
そんな風に考えてしまった、月初の台風。僕の明るい気持ちを、サッサと返しなさい!

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