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さくらごはん

その晩、早くから飲み食いしてウトウトしてしまい、夜半に目を覚ました。
仕方がないので、又呑み出した。腹一杯だったはずだが、なんだか小腹が空いてきた。
オレは小鍋に米を一掴み程入れて、研いだ。
そのまま炊こうかと思ったが、思い出して頂き物の刺し身醤油をたらーりと回しいれた。壱岐のモノだそうだ。
生姜が萎びていたのでコレも千切りにして入れた。
蓋をして、火をつける。
ぐびりとやっているうちに沸いてきた。
ふきこぼれないように火を加減して、再び、ぐびり、ぐびり。
グツグツいう音がしなくなり、ようく聞くとチリチリという音がする。
鍋の前に立って、鼻に神経を集中する。
ほんのりと焦げた匂いがしてきた。
鍋底の水分が完全に無くなったようだ。一度、火を全開にして5秒、それから火を止めた。
後は蒸らすだけ。
蕎麦猪口に残った酒が空いたところで鍋の蓋をとった。
醤油の香ばしい匂いがする。
杓文字でほぐして皿に盛って、蕎麦猪口に酒をもう一杯注いだ。
刺し身醤油と書いてあるが、たまり醤油のようでもある。そのまま舐めるとけっこう甘い。独特の香りとコクがある。
ぐびりとやってからぱくり。
香りがいい。いつもの醤油より深い。甘さもくどくない。生姜は思い付きで入れたが酒にピッタリだ。
醤油飯。茶飯と言ったりする。茶色いご飯。
静岡の西の方ではさくらごはんと言う。
色んなレシピがあるようだが、刺し身醤油はよかった。メーカーによって色々なんだろうな。

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