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トピックス(旅行記)

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旅行記です。
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#美術

VICTOR ROMÃO:ドローイングでの恐怖の探求

VICTOR ROMÃO:ドローイングでの恐怖の探求 ドローイングでの恐怖の探求 彼のモノトーンのドローイングは、匿名のマスクされた男性と、奇妙な計画に参加している半人半獣の人物を描く。彼は、ミステリーと暴力の暗示を通常のシナリオに引き込むことで、他者性とそれが引き起こす恐怖を探求するかのようだ。 水彩紙に水彩、インク、グワッシュの作品 水彩紙に水彩、インク、および/またはグワッシュを組み合わせて制作されたすべての作品 VICTOR ROMÃO ビクター・ロマオ (V

(今日のART)ナビーハ・モハメド:WANDERER

ナビーハ・モハメド:WANDERER WANDERER(渡り者)2023 oil on canvas 50 x 60 cm 19 3/4 x 23 5/8 in 「人物の変形、美術史と非美術のリソースの混合、幻想的で不遜な内容を特徴とする作品」 1970年代、伝統的にいわゆる「良い」絵画と見なされていたものを故意に無視した芸術に「悪い絵画」というラベルが付けられた。それは、1978年、批評家のマーシャ・タッカー(Marcia Tucker,1940-2006/アメリカの美

(今日のART)ナビーハ・モハメド:Give Up Girls

Give Up Girls - Nabeeha Mohamed Give Up Girls, 2020 Give Up Girls, 2020 oil on canvas Microaggression ナビーハ・モハメドは、主に白人の女子校で育ったことで、彼女が経験したときにはっきりと気づいていなかったマイクロアグレッション(Microaggression/小さな差別)を感じていた・・と後日、述べている。 言葉は意図的に傷つけるつもりはなかったが、それに刺され、モハメ

(今日のART)ナビーハ・モハメド:TEDDY (AFTER VIRGO)

ナビーハ・モハメド:TEDDY (AFTER VIRGO) TEDDY (AFTER VIRGO), 2023 oil on canvas 90 x 40 cm / 35 3/8 x 15 3/4 inch 「人物の変形、美術史と非美術のリソースの混合、幻想的で不遜な内容を特徴とする作品」 1970年代、伝統的にいわゆる「良い」絵画と見なされていたものを故意に無視した芸術に「悪い絵画」というラベルが付けられた。それは、1978年、批評家のマーシャ・タッカー(Marcia

Ghislaine Leung:作品プロセスと視点

Ghislaine Leung Ghislaine Leungの作品は ジスレーヌ・レオン(Ghislaine Leung,1980- / インスタレーション・造形作家、Stockholm, Sweden-ロンドン在住)。 Ghislaine Leungの作品は芸術の制作と (再現) 表現の社会政治的、及び、空間的状況を批判的に考察する。 芸術が制作、提示、流通する方法を、客観的視点で批判的に考察している、という事だ。 スコア(score/得点の記録)に基づいた芸術制作の

Rory Pilgrim:認知行動と思考

Rory Pilgrim:認知行動と思考 ローリー・ピルグリム(Rory Pilgrim) ローリー・ピルグリム(Rory Pilgrim,1988- /インスタレーション、具象絵画、映像、パフォーマンス…/UK-ロンドン在住) ローリー・ピルグリムの実践の中心は ローリー・ピルグリムの実践の中心は、文化的、社会的、そして世界的な責任の問題を問うことだろう・・・ ローリー・ピルグリムは、個人的にも集団的にも、私たちが信じ込んでいることをどのように認知するかを探求する。

旅とアート|藤田嗣治《秋田の行事》と竿燈まつりをいっぺんに

わたしはほんとうにラッキーでした。 秋田県を旅して秋田県立美術館に立ち寄ったのですが、そこで藤田嗣治の大壁画《秋田の行事》と、その作品で題材として描かれている「竿燈(かんとう)まつり」を、いっぺんに、ひとところで、思いがけなく観ることができたからです。 秋田県立美術館と藤田嗣治秋田県立美術館には藤田嗣治の《秋田の行事》という大壁画の常設展示があります。高さ3.65メートル、幅は20.50メートルもの圧巻の大壁画に、春夏秋冬の秋田の行事が描かれています。壁画中央の「夏」の部

【いとへんの旅・海外編】韓国ソウルで観たエスプリ・ディオール展がエンタメだった

ずいぶん熟成させてしまった「衣装をめぐる旅」のことを書きたいと思います。 2015年の旅です。行き先はソウル。仕入れの仕事で行きました。そして、このときかなり大規模な「Esprit Dior(エスプリ・ディオール)」展を観ました。 お国柄のあらわれる「クリスチャン・ディオール展」これは2015年にソウルにクリスチャン・ディオールのブティックがオープンすることを記念して開催された展示でした。 展示会場は東大門デザインプラザ(DDP)です。建築はザハ・ハディド(Zaha H

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(今日の1枚)りんごの花/春の木-Janet Fish

りんごの花/春の木-Janet Fish apple blossom/Spring Trees -2008 Janet Fish この作品は、春を感じる。 輝くような色彩のりんごの花、その背景には、春を迎え新芽を吹いた若木が、そして、遠景には、丘と、明らかに春の空を見ることができる・・・ そこに流れているものは、春の空気だろう・・・ ここでも、現実世界が、活性化されて存在する。 ジャネット・フィッシュ(Janet Fish) ジャネット・フィッシュ(Janet Fis

オラ・ソレンセン:Oil Paintings

オラ・ソレンセン:Oil Paintingsその油彩画には、オラ・ソレンセンからの、色への愛、花への愛、静物への愛を感じる。 フロリダの風景の一端かも知れないが、そこから、発信される、輝くような美しい色彩と形状は、自然であるが、観る側の心を和ませるだろう・・・ 絵を描き始めるとき、彼女は非常に注意深く、可能な限り詳細に描く。そのため、絵の具を引き出すときは、すべてリラックスして、レイヤーごとに塗りつぶします。 「背景の色が常に前に置くオブジェクトの色に影響するように、後ろから

女性画家オラ・ソレンセンと誇張されたリアリズム

女性画家オラ・ソレンセンと誇張されたリアリズム オラ・ソレンセン(Ora Sorensen /アメリカの油彩・アーティスト) オラ・ソレンセンは、自分の作品を「誇張されたリアリズム」と表現しており、色、スケール、コントラスト、照明が現実を超えて制作されている。 彼女の静物画は自然の美しさを呼び起こし、鮮やかな色、鮮やかな光、踊るような影で、それを高揚させる。 オラ・ソレンセンの油絵の技法は、薄い透明な油絵の具を何層にも重ねることで、絵画の主題の表面に深みのある宝石のような

ディオール夢のクチュリエ展 イギリスと東京ではどうちがう? ロンドンV&Aレポート

この記事では2019年にロンドンで開催されたクリスチャン・ディオール「DESIGNER OF DREAMS展」の展覧会レビューと、会場となったV&A(ヴィクトリア&アルバート)博物館の旅のレポートをお届けします。 展示される国ごとに異なるキュレーションが話題になっている「DESIGNER OF DREAMS展」(「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」) パリ、ロンドン、上海、成都、ニューヨーク、ドーハなどで開催されてきた展覧会が、現在(2023年5月28日まで)東

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知的体力をきたえると長生きできる? 李禹煥と安藤忠雄の対話より

ことしはたくさん学んで知的体力をきたえようと思う。どうやらそのほうが長生きできるらしいよ。 知的体力をきたえると長生きできる?これは建築家の安藤忠雄氏が、現代美術家の李禹煥氏との対談でおっしゃっていたことなのでまちがいないと思う。おふたりともとてもお元気で若々しい。いや、もはや若々しいを通り越して「これからもっと面白いことになるんちゃうか」という好奇心いっぱいの少年たち、といった印象を受けた。 その若々しさのひけつが、「知的体力」をきたえることなのだと安藤氏はいう。 一

「アートはできあがった答えを出しているものではない」李禹煥と安藤忠雄の対話より

兵庫県立美術館で李禹煥と安藤忠雄の対談を聞いてきた。すごく面白かったし、たくさんの学びがあった。 ダイジェストはこちら。 「現代アートはわからない」という意見に対してのおふたりの共通する意見として、現代アートを見ることでむしろその「わからない」にぶつかって、そのうえで自分の考えを持つことが大切なのだとおっしゃっていた。そして、「知的体力をきたえること」が重要だと。 おふたりの対話では、このことの重要性を何度もくりかえし語られていた。「知的体力」、すばらしい言葉だと思う。

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