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ユーフォリアスポーツ科学研究所のこと

バーチャル研究所の設立

先週月曜日、「ユーフォリアスポーツ科学研究所」(EUPHORIA Institute of Sports Science:通称EIS)を設立した。
同日朝にプレスカンファレンスを行い、午後にキックオフミーティングを行った。

研究所といっても、物理的な施設をもたないバーチャル研究所だ。
12名のリエゾン研究員の皆さんに所属していただき、さまざまな領域におけるスポーツ科学・スポーツテックの研究を共同で行っていく。

ハードウェアメーカー等さまざまな企業や、大学・研究機関や、競技団体などさまざまな存在とも連携していく。

もう随分前からずっとやりたいと思っていたこと、やるべきだと思っていたことだったけれど、多くの方の支援があってようやく小さな一歩を踏み出すことができた。

まずはこの小さなスタートから。
そしてこれから、他の多くの研究者の方、企業、大学、競技団体、チーム、アスリートの皆さんと一緒に、活動を少しずつ育てていきたい。

多領域にまたがった研究

インドネシアの国是である「多様性の中の統一」という言葉が好きだ。
同質ではないものたちが、相互の違いをリスペクトしながら、より大きな何ものかに向かい共に取り組んでいく。
専門性の掛け合わせから、驚くようなインサイトが生まれ、そこから新しい価値が紡がれる。

EISの主な研究領域は以下のようなものだ。
・コンディショニング
・リカバリー
・睡眠
・怪我予防/負荷マネジメント
・スポーツ医学(先端医療)
・LTAD(Long Term Athlete Development:アスリートの長期的育成)
・メンタル
・女性アスリートの健康
・データサイエンス/ディープラーニング

バイタルセンシングのデータ解析などのハードウェア領域もさらに含まれるし、それぞれの専門領域(Discipline)は多岐にわたる。

専門性をまたがった、Inter-Disciplinaryな取組の中から、新しい知見を生み出し、それを多くの人たちに届けられるようになりたい。

スポーツの価値とは何か

スポーツの価値は実はスポーツの外側にある。
あるいはスポーツとその外側との関係性の中にある。
外側からしか正しく観ることはできないと言うべきかもしれない。

僕という人間の意味が、その個人の中にではなく、その外側との関係性の中にこそ立ちあらわれるように。

スポーツには価値がある、と僕は強く信じている。
でももはやスポーツ界の中にいる自分たちがそれを声高に叫んでも、我田引水にしかならない。その価値は外側から正しく観えるものにしていかなければいけない。
そうでなければ、いつまでたっても、スポーツは便利に、消費されるものでありつづけるかもしれない。

あらゆるものを犠牲にしてハイパフォーマンスに取り組んだアスリートの深い知見は、その心身の内側に止め置かれて、やがてその肉体が衰えるとともに忘れ去られていく。それが繰り返されてきた。そんなことは終わりにしなければいけない。

トップスポーツはR&Dの苗床だ。
F1で開発された技術が広く一般車に使われるように、宇宙開発を通じて得られたものが民生用に幅広く使われるように、トップスポーツのギリギリの世界で得られた知見は広く一般のために供することができるはずだ。その確信だけは間違いなく手の中にある。

スポーツ科学研究を通じて得られた知見が、一般に広がり、やがてスポーツの価値を高めることにつながると信じている。

レガシーを残すこと

レガシーはもともと解釈の幅の広い言葉だったが、さらに多義性を帯びてしまった。そこにはネガティブなニュアンスも多分に含まれる。
しかし、自分の人生の目的は究極的には、後生に何らかのレガシーを残すことではないかという気がしている。

我々の存在は皆やがて忘れられる。
残るのは、後に生まれる人たち(後生)のためになる何かだ。

やがて陸続として生まれ、長く未来を生きていく後生のために、スポーツがあってよかったね、と思ってもらえる社会を残したい。
今みんなが広く使っているあれはもともとスポーツから生まれたらしいよ、というものを少しでも残したい。

EISでの活動を通じて、スポーツで悲しい思いをする人を一人でも減らしたいし、スポーツとの出合いを心から幸福なものであると思える人を増やしたいし、スポーツの高い価値が広く認められている未来を後生に残したい。

そのための、小さな小さな一歩を踏み出しました。
興味のある方、ぜひ一緒に取り組みましょう。

ユーフォリアスポーツ科学研究所ウェブサイト
https://eis.eu-phoria.jp/RandD


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