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アイルランド・ブロックチェーン・ウィーク(1)ハブを巡る国際間の競争

アイルランド共和国の首都ダブリンを舞台に、2019年5月、アイルランド・ブロックチェーン・ウィークが開催された。

ブロックチェーン週間

ブロックチェーン・アイルランド・ウィークは、2019年5月24日から5月31日までの一週間余り開催された。イベントの主催団体は『ブロックチェーン・アイルランド』であった。

ブロックチェーン・アイルランド・ウィークは、政府およびアイルランド企業が一致協力して、アイルランドにおけるブロックチェーンの推進および情報共有を行う機会である。

アイルランドにおいて、ブロックチェーン関連のベンチャーを立ち上げ、または、既存のビジネスを拡大しようと検討中の、大小さまざまな企業に対して、見通しの良い展望を示すことを目的とする。

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Irish Harp Style Bridge

センター・オブ・エクセレンスを狙う

主催団体の『ブロックチェーン・アイルランド』は、同国におけるブロックチェーンのエキスパート集団として、2016年に設立された。

『ブロックチェーン・アイルランド』が設立された経緯は、次のように述べられている。

『ブロックチェーン・アイルランド』を設立した趣旨は、アイルランドをブロックチェーンにおける、グローバル・センター・オブ・エクセレンス(GCoE: Global Centre of Excellence)に押し上げることである。

設立目的

・業界知識の共有
・教育、研究、および実験の促進
・法律の制定および改正に関する政府情報の提供
・工業標準の推進(EUおよび国際)
・プロジェクトの構想

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イニシアティブを掌握するために

世界各国で同じような動きがあり、ブロックチェーンの中心の座をめぐって競争が繰り広げられている。アイルランドに拠点を置くことのメリットは何か。これに対する回答が述べられている。

Question:
現在、複数の国において、いくつもの類似したイニシアティブ(取り組み)が既に動き出しています。『ブロックチェーン・アイルランド』は、これらと競争していけるのでしょうか?

これに対する回答は、次のとおりである。

Answer:
ブロックチェーンに関する国際的なエコシステムへの貢献において、アイルランドの立場はきわめてユニークであると確信しています。

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なぜなら、アイルランドは国際的な裁判権を提供する側にあるからです。

ブロックチェーンに積極的な、他の国家あるいは国際組織をコンペティターと見做すのではなく、むしろ、相互に補完し合う関係にあると見ています。

ブロックチェーン関連のベンチャーやイニシアティブの中には、国内法に基づく規制および課税の確実性だけを求めるところもあるでしょう。

その一方で、一部のベンチャーの要望として、それが企業であるかスタートアップであるかを問わず、一貫したビジネス・モデルを提供することが求められています。

アイルランドが提供しようとするのは、後者(一貫したビジネス・モデル)であると考えています。

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アイルランドの競争優位

一貫したビジネス・モデルを提供するというのは、具体的にどのようなことをイメージしているのだろう。アイルランドの国際競争力の源泉はどこに求められるのか。

アイルランド・ブロックチェーン・ウィークを題材として、この疑問について考察してみたい。

(つづく)

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Photos by H.Okada in Ireland