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パンプ検出できたらいいなぁ②

Pump and Dumps in the Bitcoin Era: Real Time Detection of Cryptocurrency Market Manipulations (2020)

パンプグループの方法調査と、不正行為の検知アプローチの提案。

パンプグループの調査

前半は、2017~2019ごろのTelegram上のパンプグループの素行調査。かなり細かく調査されている。

興味深いのは、これらのグループが階層構造を持っていること。ランクの高いメンバーは少し早めにパンプ銘柄の通知を受け取れる。
ランクを上げるには会員をたくさん呼び込む必要がある。マルチ商法やポンジスキームにありがちな、自分のフォロワーを食い物にする構造。

パンプの様子を見ると、最初はVolumeがほぼゼロ。その後、2つの買いのピークがある。
これがVIPと一般メンバーの行動に対応しているとのこと。

パンプ時に見られるBuy Volumeの2つの山。論文から引用。

パンプの検出方法

後半のパンプ検出の方法は、実務的で参考になる。
強い意味を含んだ「Rush Order」を以下の方法で算出する。

  • 同一時刻に価格がずれて約定したものをひとくくりにまとめてRushOrderとする。

  • つまり、複数の板をまたいで一気にテイクされた注文。

  • 1枚の板で完結したテイク注文は除外することになるが、それでもよく効くとのこと。

Rush Orderはパンプ前の数時間にはほとんどなく、スキームが開始された直後に突然増加する
テストデータでの劣化が少なく、有効な特徴量になりうる。

パンプ時のRush Orderの数。論文から引用。


これを含めて、パンプ検出の際によく効いた特徴量は以下。

  • RushOrderの回数の、RollingWindowにおける標準偏差と平均

  • 売買回数の標準偏差

  • 取引量の標準偏差と平均

  • 終値の標準偏差と平均

  • 各チャンクの最大価格と最小価格の平均 など


その他知見として、パンプ検出の際、チャンクサイズ(≒足の間隔)が適度に短いことが極めて重要。論文では5、15、25秒で調査している。こうすることで検知速度を早めることができる。


参考になりましたか?なったら6000億円ください。ではまた。

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