永遠

久しぶりに誘われたから誘いに乗った。新宿と聞いたから少しお洒落してチェックのセットアップを着てネオンが光る街に繰り出した。履く度に親指の付け根が痛くなるドクターマーチンの革靴を履いた。少しほこりがかっているところが自分らしいと思って指で埃を拭いた。
中華料理を肴に久しぶりに酒を交わした。いつ会ってもその目を見ると好きかもしれないなと思ってしまうものだから、ずるい女だなと思う。それと同時にそんな単純な自分のことを弱い男だなって思った。
久しぶりに人と酒を呑む。いつもストレス起因の一人で呑む不味い酒だったから、嬉しかった。本当に仕事辞めちゃうんだねとか、最近暗い小説ばかり読んでるんだと言いながら、中村文則の銃を勧めたり、またここでも犬に追いかけられたんだって話した。
二人で新宿の街を駅まで歩いた。いつも来ないから街の煌びやかさにのまれそうになって、いつも呑まないから僕は少し酔っていて気持ちよかった。この時間に名前がないことが寂しく感じられた。
私今日はJRなんだと言って、理由を聞いたら、彼女は小指を勢いよく立てた。
僕らはきっと永遠で、僕はずっと悲しいんだと思った。
電車の中でcryamyの天国を聴きながら、車窓から見える人間達をみつめた。

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