火花

27歳。 日記、エッセイ、読書記録。

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火花と小説火花

僕が火花という零細アカウントをつくったのは4年前に当時付き合っていた彼女に振られたことがきっかけだった。それはいわゆる「裏垢」で、誰にも見られないことを良いことに、憚ることなく感傷的な内容をただただ垂れ流していたと思う。そうすることで、一時的ではあるが溜飲が下がった気がした。 アカウント名を火花にしたのは、線香花火からとったものだった。 線香花火が好きだった。ただ線香花火の煌めきがもっと長いものだったら、僕はそれを美しいと思えたのだろうか。 あの煌めきに恋をしていたのか、はた

    • エッセイ どんなに悲しくたって別にいいよ

      クリスマスに別れることなんてあるんだと思った。しかも振られた方ではなくて、自分から別れを告げた方だった。僕はもう会わないというのに、最後に手を繋いで歩いた。自分勝手でわがままで最低だと思った。 数日前に彼女の家に何気なく遊びに行き、一緒に近所のパン屋で買ったパンを食べていた。せっかく買ったパンをトースターで焦がしてしまったのを彼女はケラケラ笑っていて、これだけ笑ってくれるなら焦がしてしまってよかったと思った。 パンを食べ終わって、一息ついた頃、「大事な話があるの」と彼女は

      • 永遠

        久しぶりに誘われたから誘いに乗った。新宿と聞いたから少しお洒落してチェックのセットアップを着てネオンが光る街に繰り出した。履く度に親指の付け根が痛くなるドクターマーチンの革靴を履いた。少しほこりがかっているところが自分らしいと思って指で埃を拭いた。 中華料理を肴に久しぶりに酒を交わした。いつ会ってもその目を見ると好きかもしれないなと思ってしまうものだから、ずるい女だなと思う。それと同時にそんな単純な自分のことを弱い男だなって思った。 久しぶりに人と酒を呑む。いつもストレス起因

        • 車通勤じゃない人は初めてですね。 新しい店長は堤真一みたいな顔でぼそっとそう言った。そう、車を持っていないということ、そして車の運転に恐怖心があるという事実が僕にとって、男として価値を下げているのではないかというコンプレックスだった。 男に望まれるものに車と運転があると思う。いい車に乗っていればそれはお金を持っていることをすぐさま示し、例えいい車に乗っていないとしても、車の運転は求められる。そもそもの話車がないと生活が厳しい。 デートの待ち合わせなどは必ず駅になるし、相手女

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          やっぱりすこしさみしいね

          異動があり、今の職場での勤務が残り2日となる。今日と明日で、たくさんのさよならがある。別なところで働くという実感がなかったのに、みんなが挨拶にくるものだから、さよならが突きつけられてさみしくなる。 会えると思えば会える関係なんかじゃなくて、行ったら会える、そんな関係は実は尊くて短い。教室のクラスメイトとか、職場の同僚とか、同じ空気を吸った回数だけ、さよならがさみしい。 自分の登場人物がどんどん増える。それはさよならがどんどん増えていくことでもある。好きな小説に、別れてもその人

          やっぱりすこしさみしいね

          「もうずっとおんなじの使ってんだ」 いつもボソボソと冷たい感じでこの看護師は話す。 「コンタクト、ワンデイに変えましょっか」 「はい、分かりました」 「そういえば、この間ね、ここの窓開けてたらスズメバチ入ってきたの。これくらいの」 新しいコンタクトの選定に時間がかかるのか、隙間を埋めるためなのか、看護師は親指と人差し指で、蜂の大きさを見積もって話してきた。 「それでね、網使ってキャッチアンドリリースしたら、みんなになんで殺さないんだって怒られちゃった」 この冷た

          春、始まりと終わりと続き

          ツカツカと革靴の音が近づいて来て、すぐに店長だと分かった。半年も同じ生活圏内で過ごすとそれが誰の足音か分かるようになる。動き回る仕事だというのに、肩書きが足元をかたくしていて可哀想でもありかっこよくもあった。 「火花さん内示。○○市役所前店」 そっと静かに店長はそう言った。去年の8月に異動したばかりだったので、早いなと思ったが、この店で次異動があるのだとすれば、僕なのだろうと予想はできた。 半年という期間は、思ったよりも濃厚なものだった。自然とみんなの顔を浮かべる。Kさ

          春、始まりと終わりと続き

          架空の関係性

          私たちは毎週火曜日にドトールで一時間互いに本を読み、その本から気になった語彙や、調べた語彙、お気に入りの一文などを発表し合う。それだけの関係性を私たちは一年間続けている。 『つらいと感じることは、こんなにもつらいことだったのだ』 「この一文がすごく好きだった。小説家やお笑い芸人はありふれた感情をいかにオリジナリティを持って言語化するかだろ?又吉さんはこの一文で言語化できない感情を言語化したように思う」 「そしてこの後に『つらいという言葉や概念を理解してもつらいことの強度は減ら

          架空の関係性

          ひばならじお#68

          ひばならじお#68

          20240315

          自分の存在が認識できなくなってきている。

          気付き

          言語が我々に思考を与えたのならば、もし君が今思い悩むということは、それほど君が言葉と知を所有しているからかもしれないよ。悩むということは弱いことではない。

          気付き

          ひばならじお#67 哲学と宗教の話

          ひばならじお#67 哲学と宗教の話

          二月に読んだ本と憂う年

          2月に読んだ本。 ・火花 又吉直樹 ・ひとり日和 青山七恵 ・グランド・フィナーレ 阿部和重 ・沈黙 遠藤周作 2月は1月よりゆっくり読んだ。そしてじっくり考ることができた。 火花は又吉直樹さんを映し出した鏡みたいな作品だと思う。なんだろう、お笑いや人間に対する純真さが文体から伝わってきた。僕は彼に憧れている。 ひとり日和はその淡々と物事が過ぎていくリアルさがどこか胸をしめつけた。人生は綺麗事じゃない。そして、ある種誰しもが孤独の檻の中にいる。それに向き合っていてみん

          二月に読んだ本と憂う年

          ひばならじお#66

          ひばならじお#66

          大学時代の友人から結婚の報告の電話があった。嬉しかったけど悲しかった。そんな自分が憎かった。

          大学時代の友人から結婚の報告の電話があった。嬉しかったけど悲しかった。そんな自分が憎かった。

          ただただ暗い文字の羅列

          映画を観に行こうと思ったら最寄りの沿線で火災があったらしく、諦めて家に戻った。だらだらと動画を漁った後に眠った。起きたら鬱物質が脳内に広がっている気がした。どうやら眠って瞼を開いたときにそいつはやってくるらしい。 最近というか、前からであるが、しっかりと仕事が嫌いになっている。かといって転職するスキルがあるわけでもなければ、何をやったって自分は文句を言うのだろうと分かりきっている。 人間関係も良くはない。というより全部自分が悪い。前の職場の同僚から飲み会の誘いがあったのだ

          ただただ暗い文字の羅列