ミスター

今日は13時からライブでございました。
その後、池袋にあるNSC事務局に寄り来月のスタンドアップというライブのエントリーを済ませ電車に乗り、家の近くにあるドトールに入店。
ドトールはいい所よ。店内が綺麗なの。何時間も居れるの。ゆっくり休みなさい。疲れた羽を癒すの。(強く儚い者たち)
カウンター席に座っていると後ろの小さい二人用のテーブルに大学生と思しき男女二人が席についた。
女の子の方が先輩っぽくてずっと男の子が敬語で喋っている。
会話の節々から男の子が頑張って大きな声で、大きな笑い声で、大きなリアクションをとって話を盛り上げようとしているのが痛いほど伝わる。
頼むから黙ってくれ。だってものすごくうるさくて、ありえないほど近い(主演:トム・ハンクス)
会話の内容は男の子のバイト先での苦労話。大学のサークル内での飲み会の話。
一方的にずっと男の子が喋っており、女の子は『へ〜』『そうなんだ』『なるほど』ぐらいの相槌しか打っていない。
俺は最初はうるさくてイライラしていたが、だんだんその男の子がいたたまれなくなり、女の子に対してイライラしはじめた。
多分、男の子は目の前の女の子のことが好きなんだろう。
それも痛いほど伝わる。それなのに!それなのに!何だオメェは!お高くとまりやがって!俺はムカついてその女の子のツラを拝んでやろうと思い、何気なしにストレッチをするふりをして後ろを振り向くと女の子は男の子の話を聞きながらスマホを横画面にして動画を見ているようだった。
どういうつもり?ねぇ、どういうつもりなの?
確かに男の子の話は、あなたにとっては退屈な話だったかもしれない。『知らね〜』かもしれない。
でもあんまりじゃない?その態度。
それでも返りがない壁に対して男の子は果敢にボールを投げ続ける。ひたむきに。
泣ける、泣けるぜ。少年。俺はこの男の子の応援団長になろうと心に決めた。
俺は今からお前にとっての長島三奈だ。熱闘甲子園!
俺こと長島三奈は今からお花を摘みに行って参ります!熱闘甲子園!
三奈がトイレから帰ると、三奈は愕然とした。
その女の子が横画面にして見ている動画が目に入ってしまったからだ。
その女の子はYouTubeで海外クラブチームの選手が華麗なパス回しからシュートを打ちゴールネットを揺らしに揺らしまくるサッカーのゴール集を見ていた。
これには三奈も涙が止まらなかった。球技が違うじゃん。
歴代全国高校サッカー選手権の応援マネージャーは堀北真希、新垣結衣、広瀬すず
等、今をときめくスーパースターたち。
何?私だって長嶋茂雄の娘よ!ミスターの娘よ!パパは首位打者だっていっぱい取ってるんだから!ミスタージャイアンツなんだから!
私は今、サッカーゴール集に夢中になっているのを知らずに、まるで白球を追いかけるように直向きな大学生の男の子にこの言葉を贈りたい。
『男の子は紳士たれ!』


無駄にはしません