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心がほわっとした話

ツイッター改めエックスで「三毛猫可愛い選手権」というのをやっていたので、我が家の「ミケちゃん」の写真を貼り付けて参加してみた。
そのタグにはすでに全国から千を越える数の写真が集まり、ツリーは盛大な三毛猫まつりとなっていた。猫好きな方にはぜひご覧いただきたいと思う。
誰もが自分の愛猫が世界で一番可愛いと思うのは自明の理というものだが、冷静・客観的に見ると「ミケちゃん」が世界一可愛い顔をした三毛猫とは言い難いのも事実である。なのになぜ飼い主の心情として世界一可愛いのか、と問われたら、ぼくは「身内だから」「家族だから」と答える。加えて、たとえどんな容姿だったとしても、と。

テレビをあまり見なくなって久しいが、おそらく多くの人が思い当たるであろう、感謝祭と称してタレントがクイズや競技に興じる長時間番組でのこと。ずいぶん昔のことなのになぜか今でも覚えているシーンがある。
徒競走だったと思う。
各チームは一位になる選手を予想する。当然その当落は点数(獲得賞金)に反映される。お馴染みのアスリート系タレントに混じって、各番組(チーム)から、若手の男性俳優も何人かエントリーしていた。
渡る何某(なにがし)のチームもあり、そのチームからは〇キオの山口くんがエントリーしていた。
いくら運動神経が良い山口くんでも、大本命のアスリート系俊足タレントに勝てるとは思えない。他の俳優等も同じである。
案の定、ほとんどのチームは自身のチームからエントリーをしている俳優・タレントを差し置いて、鉄板のアスリート系俊足タレントにベットした。賞金と勝敗が掛かっているのだから当然であろう。
ところが、渡る何某チームは迷うことなく一位予想選手を山口くんとし「がんばれー」と応援したのだった。
正直驚いた。しかし次の瞬間、ああいい人たちだなと思い直したのだった。
果たして、山口くんは一位にはなれなかったと記憶しているが、チームメンバーは一生懸命健闘を讃えていた。
そのときの渡る何某のメンバーの心意気のようなものが気持ち良かったし、とても暖かいものとしてぼくの胸に刻まれたのだった。

こんなことを思い出したのも、三毛猫可愛い選手権では、みんな「いいね」を三桁、四桁とつけてもらっていたが、ミケちゃんは投稿したタイミングの問題なのか、本当に誰の目にも止まらなかったのか、ずっと「いいね」がゼロのままだった。まあ、実際にそれほど可愛くないと言われればそうなのだが、親ばかとしては少し不憫に思い、その旨を自身のアカウントからツイートをした。
すると、ぽつりぽつりと「いいね」をしてくださる方が現れた。ぼくの(というか、ミケちゃんの)フォロワーさんたちだった。
もちろん三毛猫可愛い選手権は勝ち負けではないし、この世の可愛い三毛猫たちを愛でる楽しいお祭りである。
ミケちゃんがぽつりぽつりとつけてもらった「いいね」に千鈞のおもみとありがたさを感じるとともに、ふと、ずいぶん昔に見た番組の、胸がほわっと熱くなったときのことを思いだしたのだった。





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