ギャンブル

時々自分の素性について話す時に、ギャンブルについてネタにすることがあります。私自身はパチンコどころか、FXや先物取引もしません。若干株やドルは動かしてみたりしますが、NISAも関心がありません。お金に関心がない、というよりは資産形成では相続や贈与など、家族からもらえる人とそうではない人では動かせるお金に大きな違いあるため、自分は個人資産の形成では無理があると判断をしました。そのため、会社を経営し法人を動かしています。給与所得で一定の金額を毎月確保しているよりも、会社としてやる方が利益を出しやすいからですね。ギャンブルというよりも手堅さから事業をやっています。

私自身は自分がプレッシャーに弱い性格をしていると10代の頃からわかっており、冷静に自分の弱点を見つめてきたので投機性の高いギャンブルはしません。また、個人によるローンは足枷になると決めているので、奨学金は得ずに大学に行きました。車もローンで買ったことはありません。手元にあるお金はあくまでも「資金」であるため、消費ではなく、せめて等価交換をしたい、という考え方です。大学では200万程度使ったかと思いますが、いまだにご縁のある恩師を得たり、学んだことも多かったですし、大学の後輩の士業の方と仕事ができる関係が構築できたこともあり、200万以上の価値があったと思います。

私の母方の父は、満州帰りの荒くれた人で博徒でした。山も潰し、田畑も売りさばいてしまった人ですが、満州で何らかの出来事があったようで今でいうPTSDのような体験があったのかと思われます。雀荘を営んでいた時期もありましたが、年齢を重ねてから授かった母のことは結構溺愛したようです。しかしまぁそこは博徒、聞く限りでは面倒な人だったことは確実です。父の弟もギャンブルで失踪していますし、姉は一時期セミプロのギャンブラーだったので、周囲にはどうしようもない大人が多かったわけですが、私自身は2つの観点からギャンブラーにならずにすみました。

1つ目は、ギャンブラーはルックスに難がある、という点です。ギャンブルは脳汁が出ているような状態を楽しむので、基本的にドーパミン中毒です。人に好かれる努力をしなくても興奮が得られるので、多くのギャンブラーはルックス(造形の意味ではなく)を構わなくなります。服装にこだわらなくなる方が大変多いのです。たとえ服装に構っていても、債務整理の現場でそこそこ破産者を見てきた経験からすると、何かピンとくるものがあります。

持ち物のちぐはぐさ、とでも言いましょうか。1点だけ妙に効果なものがある、などのイメージです。借家にベンツ、オーバーホールの知識のないロレックス、などなど。ユニクロにアルハンブラを身に付けてもあまり意味は持ちません。この点は、中毒や依存の傾向がある人に共通しているものかもしれません。

私は服装を整えることは好きなので、この点からギャンブラーになるメリットはない、と判断していますし、ギャンブラーには惹かれません。

2点目は、賭け事の対象を自分にすることで満たしているという点です。ギャンブルは人に与えてもらうものです。パチンコも競馬も、他人が用意したものに賭けます。私にとってはそれは「つまらない」のです。周囲がギャンブラーで、自分に学を与える価値がないような環境で育ちましたが、だからこそ、私は私にBETしたんですね。自分で稼ぎながら大学に行くことは賭けの1つでしたし、法律の知識がないところから1人で士業の世界で事業を作っていくことは、大変な緊張感があります。コツコツやっているので時間がかかっていますが、今では弁護士、医師たちと議論をし、新しい事業が出来上がっていく様子を眺められるようになりました。自分には遠く及ばないような人たちの中でどう生きるのか、これは最高に面白いギャンブルです。英語の論文が読めず、なんでこんなに苦労する方向に来たのかと後悔する夜もありますが、田舎の主婦がこういう世界に40にして足を踏み入れていくなんて、面白くて仕方がありません。

ギャンブラーは脳汁を出すことを他者に与えてもらう点で圧倒的に弱いのです。今話題になっているニュースもそうですが、投機性の高いものは「負けから勝つ」ことで興奮を得るので、基本的に「自ら負ける」構図です。常勝では興奮しません。でも自分で自分に賭けるというのは、弱い自分にBETできるという点で非常に有益なギャンブルです。勝つときに、利益も達成感も得られますし、一回り素敵になった自分に出会えます。

この視点から、債務整理から立ち上がりたい人に、自分で自分に賭けてみては?と話すことがありました。なかなか伝わりにくい言葉かと思いますが、気にかけていたある男性が家族の支えの下で、最近専門職として独立されたことを知りました。彼も賭け事の対象が自分になったのなら、今最高に面白いのではないでしょうか。




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