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孤独が幅を利かせて家族を傘下に収め、絶望が肥大してシミュレーション宇宙を形成する

兵士は以下のようにして引き金を引くべし。

叙事詩「車窓の夕焼け」

孤独と愛し合った時代は過ぎ去り、
個人として確立した人格が、
3年寄り添った彼女のアパートに移り住み、
同棲を始めてもうすぐ1年になるが、
孤独を感じる暇はなく、
天気の影響を強く受ける嫁の感情に付き添い、
雨の日に濡れるように、
晴れの日に乾くように、
ただ風に揺られる草木のように、
地球大気の宇宙現象の中の1つとして、
孤児である自己を貫徹しながら、
法の下の独りとして、
この複雑怪奇な日常という、
地殻運動的なマントルのごとき、
灼熱の静けさに圧倒されながらも、
みずからもその動乱の要因にして結果であることの、
重すぎる軽さを無視することに専念することで浮上する盲点に集中して、
そのマバタキの最中の刹那の暗転に安堵することも叶わず、
安全確認のためにこじ開けられる瞳と、
留まること許されぬ青信号中の同調圧力に屈し、
身体が勝手にアクセルを踏む。


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