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まるかの経験生かし創業 ヤマキ新道水産 青山さん まちなかに鮮魚店開店へ

 石巻市中央三丁目に19日、鮮魚店「ヤマキ新道水産」がオープンする。今年3月に閉店した鮮魚店「プロショップまるか」の元従業員、青山周平さん(30)=同市中央=が一念発起。培ってきた加工技術や市場での目利きを生かし、高品質な地元の水産物を提供していく。コロナ禍で小売店を中心に苦境が続く中、若い世代のまちなか起業に注目が集まる。19日は飲食店向けに販売し、21日から一般向けに営業を始める。営業時間は午前9時―午後1時。休業日は石巻魚市場に準じている。

 同市北上町十三浜出身の青山さんが、まるかに勤め始めたのは21歳のころ。知人の紹介で仕事に就くが、当時の同業者は年齢が近くても50代、話題が合わずコミュニケーションに悩んだ。辞めようかと思ったが、まるかの佐々木正彦社長から魚の仕入れを任され、やがて加工から販売までを一貫してこなすようになると、自信が付き始めた。

飲食店や一般向けに鮮魚店を開く青山さん

 2年目から魚屋の面白さに気付き、季節で変わる魚種の知識、品質を見定める目利きの技術を高めた。それでも年によって変化する漁期や漁獲量など自然を相手にする商売だけに予定通りにはいかない難しさも痛感。安定量を確保し、店頭に並べることに知恵を絞り続けた。

 今年3月、まるかは半世紀以上に及んだ歴史に幕を下ろした。青山さんは一時期、教わった技術や経験を生かして店を引き継ぎたいとも考えたが、家族にも相談してこことは別な場所に構えて挑戦することを決意。日本政策金融公庫と石巻商工信用組合から協調融資を受け、創業に向けた資金を確保し、6月には中央三丁目の石巻信用金庫本店北側に延床面積148平方メートルの新店舗建設が始まった。流し台など一部の機材はまるかから引き継ぎ、水槽などを整備して活魚も扱えるようにした。

 これまでまるかの仲買人として魚市場に入っていたが、これからは新規の仲買人となるため、すぐに単独で買い付けはできない。そこで市場の買受人組合に所属する鮮魚販売の(株)ダイスイ(大森圭社長)が仲介。青山さんは同社の代理買付人として実績を積み、組合所属を目指す。大森社長(45)は「私でもこの業界では『若手』。そんな中、30代で飛び込んできてくれる若い世代を応援したい強い思いがあった」と期待を込めた。

 まるか閉店後、中心市街地では鮮魚の仕入れに困る飲食店も多く、青山さんの起業はまるかを利用していた人たちにも朗報だ。青山さんは「家族や大森社長をはじめ、多くの人に支えられて店を開くことができる。心から感謝」。その上で「お客さんに育ててもらい、長く地域に愛される店にしていきたい」と話していた。【渡邊裕紀】





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