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石巻市田道町「はやしのとうふ」復活

手づくりの味に原点回帰

 「はやしのとうふ」で石巻市民に親しまれた㈱林食品(林貞一郎社長)=同市田道町一丁目=。経営悪化で昨年廃業したが、長男の伸和さん(41)が商品名を引き継ぎ、個人事業主として「はやしのとうふ」を復活させた。昔ながらの手づくりで高品質な豆腐作りに原点回帰しており、懐かしさと味わい深さでファンを増やしている。

 創業115年の「はやしのとうふ」は、石巻市内のスーパーなどで豆腐を販売し、市民に親しまれてきた。その後、大手メーカーの台頭や材料費高騰、輸送費の負担増などが重なり、惜しまれつつ昨年6月に店を閉めた。

 伸和さんは東京でラーメン店を営んでいたが、8年前に帰郷。林食品の従業員として豆腐作りを代々学んできた。「豆腐作りの面白さを知ったからこそ、ブランド名とともに残したい」。父から商品名を引き継ぎ、これまでの大量生産ではなく、手間暇かけた手作りの豆腐に原点回帰した。

少量生産、高品質で勝負

 これまでの機械類を処分し、製造工場跡を半分に仕切った後、新たに手作り用の設備を導入。大豆やにがりなど素材にこだわり、今年1月から販売を始めた。これまでの商品と比べると、「もめんとうふ」「きぬごしとうふ」とも300円と価格が倍以上になったが、大豆本来の味が強く残る新しい「はやしのとうふ」は、着実に市民の心をつかんでいる。

「最高の豆腐を追求していきたい」と話す林伸和さん

 取扱店舗はグリーンサムいちば=石巻市恵み野=のみだが、月曜午後1時半―同4時は自動車整備工場のMRCトータルライフアシスト=同市須江=、火曜午後2時―同5時はあいのや石巻のぞみ野店=同市のぞみ野=で移動販売している。

 同市田道町の工房では午前9時―正午に販売(日曜、第2、4水曜定休)しており、伸和さんは「今後は工房横に店舗を置き、店頭販売もしたい。手広くではなく、狭く深く手作りの味を追求したい」と話していた。
 問合せは同工房(22―3619)まで。
【渡邊裕紀】

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