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女川町 4年ぶり津波伝承復幸男 「逃げろ!」の合図で高台に 町内外106人全力疾走

 女川町で25―26日、「おながわ春のまつり」(同実行委主催)が開かれた。津波襲来時に高台避難の教訓を伝える「津波伝承女川復幸男」では、参加した町内外の106人が町役場南側から女川小中学校校庭までの約250メートル(高低差約25メートル)を駆け上がった。1位の小島涼太郎さん(22)=福島県福島市=に「1番復幸男」の称号が与えられた。

 春のまつりは、4年前にファイナルを迎えた「女川町復幸祭2019」の思いを引き継いだ企画。道の駅おながわ開業2周年に合わせ、コロナ明けの観光回復の機運を盛り上げようと開催した。

津波到達時刻に坂道を一斉に駆け上った

 復幸男は、津波伝承の年中行事にしようと平成25年に始まった催し。コロナ禍の中止を挟んで4年ぶりとなり、町民をはじめ、足に自信のある中高生、社会人ランナーなど幅広い年代の走者が参加した。

 スタート時刻は、東日本大震災で町に津波が到達した午後3時32分。参加者たちは「逃げろ!」の掛け声で海を背に一斉にスタートし、沿道に集まった町民のエールを受けながらゴールを目指した。

1~3位に輝いた復幸男(中央が小島さん)

 2位と4秒差の50秒29の記録で「復幸男」に輝いた小島さんは4年前以来2回目の出場で初優勝。現在は陸上自衛隊福島駐屯地の自衛官、高校時代は古川工業陸上部で200メートルの選手だったという。

 小島さんは「きつい坂だったが楽しく走ることができた」と爽やかな笑顔。「有事の際はそれぞれが高台に逃げて、命を守る行動を取ってもらえれば。この教訓を伝えるため、また参加して、1番を目指す」と話していた。

 また本祭の26日は町まちなか交流館をメイン会場にアイドルグループの音楽ライブや人気テレビ番組「水曜どうでしょう」の藤村・嬉野Dトークショーもあり、大勢の人でにぎわった。【山口紘史】





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