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津波で流された車両か 旧北上川から引き上げ 捜索で車検証見つかる

 石巻市中心部の旧北上川河口で東日本大震災の津波で被災したと思われる水没車両が見つかり、河川管理者の国交省北上川下流河川事務所は15日、引き上げ作業を行った。石巻署の車内捜索で、車検証が見つかった。

 車が沈んでいたのは中瀬の南端から北西約170メートルの場所で、幅60メートルほどある右岸と中瀬の真ん中辺り。第二管区海上保安本部が昨年6月に行った水深調査の分析結果で、深さ3メートルの川底に車らしきものあるのが分かった。

 宮城海上保安本部が今年7月に潜水調査し、経年劣化が進んだ1台を確認。情報を受けた河川事務所は、津波で流された可能性があり、放置しておくことでの油漏れなどの事故も懸念されるため、引き上げることにした。

台船のクレーンでつり上げ、貝殻が付着した車が浮上した

 ダイバーが車体にワイヤを掛け、台船のクレーンでつり上げて中瀬に下ろした。車は白のミニバンで、貝がびっしり。反転した車内のヘドロは相当な重さで、より力の強いクレーン車に交換するなどしてようやく引き起こすことができた。

 石巻署の捜査でナンバープレートは見つからなかったが、車検証を発見。所有者が分かったものの、運転していた人の安否は分かっていない。ただ、廃車手続きされており、震災で流された可能性が高まった。

 同事務所の高田浩穂副所長は「震災から10年9カ月の月日を車に付着した貝殻や中に入った泥でつくづく感じた。同様の車が見つかれば、関係機関とともに対応を検討していく」と話した。

 同事務所では旧北上川で震災の年に62台の車を引き上げ。その5年後には整備前の南浜マリーナで3台を引き上げている。【熊谷利勝】


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