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悩む有権者との〝距離〟 投票率の行方も焦点 コロナ禍手探りの戦い

 任期満了に伴う石巻市長選(18日告示・25日投開票)が迫ってきた。告示まであと10日となった8日現在、立候補を表明したのは市議の阿部和芳氏(61)、元衆院議員の勝沼栄明氏(46)、元県議の齋藤正美氏(66)、元石巻市・市立病院職員の長純一氏(54)、アルバイトの豊沢幸四郎氏(59)の5人。現職の引退で16年ぶりに新人同士の争いとなるが、コロナ禍であり、各陣営は投票率への影響もにらみながら告示後の戦い方を探っている。【熊谷利勝】

 石巻地方では新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての選挙となる。人との距離が近い握手や集会のような従来型の戦いが難しい中、各陣営の試行錯誤は続く。また、県内は5日から「まん延防止等重点措置」(5月5日まで)が適用され、選挙期間に該当することから、投票率への影響も懸念されている。

 合併後、石巻市長選は4回行われ、投票率は図の通り。初代市長の椅子を巡り2人の新人が争った平成17年こそ71.87%と高かったが、亀山紘市長が一騎打ちで当時の現職を破って初当選した21年は58.82%。現職に新人3人が挑んだ25年、29年は50%を割り、44%台で横ばいとなっている。

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 21年から市議選と同時でなくなり、25、29年と現職有利な構図で顔ぶれもあまり変わらなかったことから盛り上がりに欠けた。

 特に29年は選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられて初の市長選だったが、18―19歳の投票率は合わせて23.63%。最も投票率が高い65―69歳(61.64%)の半分以下で、若い世代ほど低い傾向があった。旧1市6町の地区別では投票率に大差なかった。

 今回は新人同士の戦いとなり、これまで投票に行かなかった人の票の掘り起こしが期待される。確実な得票が見込める基盤がない陣営ほど、投票率の向上は死活問題だ。

 ところが、人の接触や密集を避けるコロナ禍では、自らの存在をアピールできるイベントがなければ、支援者を増やす集会も開けず、地域を回ることもはばかられる雰囲気。有権者の顔が見えない前哨戦であり、ある立候補予定者は「手応えはあるが、マスクで表情が見えず不安」と複雑な表情を浮かべる。

 口元を覆うマスクは顔を売り込みたい新人にとっても壁。多くの有権者の目に触れようと、マスクを外して早朝の街頭に立ち、手を振る立候補予定者もいる。SNSを使った情報発信も盛んで透明性は高いが、支持に直結するかどうかは見えにくい状況だ。

 石巻市の有権者数は3月1日現在で12万1140人(男5万8545人、女6万2595人)。4年前の市長選当日有権者数に比べ2778人減った。


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