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紙芝居「斎太郎物語り」発見 作画の東城さんも感激 保存状態良く25年ぶり再会

 宮城の郷土民謡「大漁唄い込み」のルーツとなった斎太郎節の誕生を描き、平成10年に発表された紙芝居「斎太郎物語り」が25年ぶりに見つかった。作画を担ったのは元アニメーターで造形作家の東城エリ子さん(62)=石巻市向陽町=。思わぬ再会に「震災の津波で流されたと思っていたので驚いた」と感激。作品は5―30日に市かわまち交流センターで展示される。

 紙芝居「斎太郎物語り」は平成10年、当時の市民グループ「地元の民話をマンガで伝える会」が、東城さんに原作を基にした作画を依頼した。江戸時代に鋳銭場で働く斎太郎が労働条件の改善を求めた結果、罪をとがめられて島流しとなり、そこで漁師として生き抜いた様子をA1サイズ11枚に水彩絵の具で描いた。

「残っていたのが驚き」と話す東城さん

 そのころ東城さんは千葉県内に在住。斎太郎の生きた時代を描くため、栃木県の歴史テーマパーク「日光江戸村」で当時の生活やまげの結い方などを学んだ。また、石巻市も訪ねて石巻文化センターに展示されていた鋳銭場の風景や千石船の造形なども参考にしたという。

 紙芝居は先月、当時伝える会の代表を務めていた尾形和昭さん=同市中里四丁目=が自宅で発見。作品の裏には、地域の歴史を研究する田代島出身の阿部勇雄さん(93)=東塩竃市=の原作と表記されている。複製されたかどうかは分からないが、見つかったのは原画そのもの。保管状態も良く色彩も鮮やか。東城さんは「地域の歴史を知る一つの手段として使ってもらえれば」と話す。

 原画を受け取った(株)街づくりまんぼう=石巻市中央=の苅谷智大課長は「今秋、中央地区にオープンする漫画、アニメの創作活動拠点で活用するほか、小中学校に出向き、読み聞かせなども行っていきたい」と展望していた。【渡邊裕紀】





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