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犬の社会化トレーニングとは?

社会化とは簡単にいうと犬にこれから生きていく環境に慣らすことです。

残念ながら犬は本を読んだりテレビを観て学習することは出来ないので、何事も『体験』というのを通して学んでいきます。

犬がいろんな経験を積むことで「世の中って、怖いものなんてほとんどないんだね」というのが分かるようになります。

社会化を進めることで犬にとっては、怖いものなんかない世界で平和に落ち着いて暮らせるメリットがあり、人にとっても小さなことで犬が動じないので無駄吠えのリスクもなく落ち着いて楽しく暮らしていけるというメリットがあります。

犬の先進国である欧米諸国に比べ日本は本当に社会化の出来ていない犬が多く、犬は常に恐怖の中にいる為、様々な問題行動を引き起こすようになってしまいます。

犬が無駄吠えや攻撃的になるのは、怖いものを追い払おうとして吠えたり威嚇する為です。

恐怖心の強い子は常に震えて恐怖からウンチやおしっこを漏らす事もあります。

そして常に飼い主さんと離れられない『分離不安』になると、留守番中吠え続けたり、物を壊したり、出血するまで手足や体を舐めたりすることもあり、新しい環境にも慣れず、いざという時に知人やペットホテルに預けるのも難しくなり、こういった様々な問題行動は犬の社会化不足が引き起こしています。

犬がどっしり落ち着いて小さなことでもビクビクせず、明るくおおらかな犬に育てるには犬が人間社会で生きていく環境の中で、何が怖いもので、何が怖くないものなのかの判断基準を養い、プチパニック状態から平常心に戻るスピードが早い『ストレス耐性』を身につけましょう。


社会化期(7週齢〜12週齢)のトレーニング

様々なものを見せる

子犬が将来的に出会うであろう様々な物を見せましょう。例えば飼い主さんの着衣(帽子、メガネ、サングラス、etc)や家の中にある電化製品(テレビ、リモコン、携帯電話、冷蔵庫の中、etc)など必ず飼い主さんの注意が届く範囲内で見せたり匂いを嗅がせてあげてください。

犬は臭覚の動物ですので、初めての物を見ると同時に必ず鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぎます。視覚と同時に臭覚も刺激され自然と警戒心が薄らいでいきます。

様々な人や動物に会わせる

人に飼われた犬が学ばないといけないのは、人は飼い主であれ他人であれ、生活の中で目にする動物も同じ仲間であり良い存在であるということです。

  • 人・・・男性、女性、お年寄り、子供、赤ちゃん、外国人、ヒゲをはやした人、帽子やヘルメットを被っている人、メガネの人、車椅子の人、白衣や作業着を着ている人、自転車に乗っている人、声の大きな人など

  • 動物・・・犬、猫、野鳥、ハムスターなどはペットショップで見せることができますし、自然の中でリス、アヒル、カモ、カラスなどを離れた場所から見せたりしましょう。

様々な音を聞かせる

子犬が生きていく中で確実に聞くであろう音にあらかじめ慣らせておきます。

玄関のインターホン、電話の着信音、掃除機、電子レンジ、車、トラック、電車、バス、パトカーや消防車、救急車のサイレン、工事現場、雨、雷、子供のはしゃぐ声、赤ちゃんの鳴き声、お祭り、スーパーの音楽など

実際に音を聞かせるのが難しい場合は、動画などで犬に聞かせるのも効果的です。

様々な場所に行く

家の中に慣れてきたら外の環境にも慣らせていきましょう。

公園、繁華街、駅周辺、人混み、ドッグラン、犬も入れるお店(ホームセンターやペットショップ)、お祭り、工事現場、海、川、車の中など

まだ免疫力のついていないワクチンプログラムの終わっていない子犬は感染症予防の為、必ず抱っこをするか犬のキャリーバッグやカートに入れ、決して外で歩かしたり地面に下ろさないようにしてください。

様々な状況や感触を体験させる

家に知らない人が入ってくる、知らない人に突然撫でられたり、お散歩中に話しかけられる、シャンプーされる、アスファルトや砂利、土、泥、草地の感触、マンホールや排水溝、水たまり、ちょと地面が動くような場所、滑る床、雪の上など。

いずれも必ず犬の安全に注意しながら様々な体験をさせてあげてください。

パピーパーティーに参加させる

パピーパーティー(パピー教室)とは、同じ月齢の子犬を集めて社会化を促す催しもので、ペットショップや動物病院、しつけ教室などで開催されています。

子犬たちは犬同士、自由に戯れ合いながら支配・服従の姿勢を身に付けたり、どの程度の強さで噛むと相手が痛がるかなどの攻撃抑制を自然と学んでいきます。

また犬が出すフェロモンには、子犬同士の交流を促し、社会化を早める効果も期待されます。

我が家の愛犬、虎鉄ちゃんもこの時期に3〜4回ほどパピーパーティーに参加しました。お陰でとても人好き&犬好きに成長し、散歩中に遭遇した犬にどれだけ吠えられても、決して吠え返すこともなくおおらかに対応することを覚えてくれました。

是非とも好奇心旺盛で社会化に適したこの時期にパピーパーティー(パピー教室)への参加をおすすめします。

【地域名+パピーパーティーorパピー教室】などで検索し、お近くで開催されている情報を見つけたら是非、愛犬と一緒に参加してみてください。

ちなみにうちの虎鉄ちゃんが初めてパピーパーティーに参加した時の
ショート動画
です。おどおどしている虎鉄ちゃんが可愛いので良ければ
是非、みてくださいね。笑。↓

成犬になっても社会化トレーニングは可能です

犬は好奇心旺盛な社会化期を過ぎると、今度はとても警戒心が強くなります。

犬の社会化期はたった5週間しかない為、あっという間に過ぎ去り、ワクチンプログの時期や犬を迎えたタイミング、ましてや忙しい飼い主さんだとなおさら機会を逃してしまいます。

社会化期のトレーニングと違い、成犬の社会化トレーニングやしつけは時間はかかりますが、不可能ではないです。

社会化ができていない成犬は警戒心や恐怖という感情が邪魔をして、好奇心の蓋を固く閉じてしまっている状態です。

なので、その好奇心を刺激するために、いつもより良いおやつを使ったり、大好きな音の出るおもちゃを使ったりしながら、楽しい雰囲気でおこなうことが大切なので、最初は犬が参加しなくても飼い主さん同士で遊ぶ姿を見せるだけでも大丈夫です。

時間がかかっても構いません。飼い主さんが愛犬と笑って楽しく過ごすことが一番ですので、是非ともポジティブな社会化体験をさせてあげましょう。


ポジティブな社会化体験をさせる3つのコツ

どんなに頑張って社会化体験させても、実は犬にとって「あ〜怖かった・・・」という形で終わってしまっては社会化の意味がありません。

ポジテイブな社会化体験をさせる1つめのコツ

一番重要なのは飼い主さんがどっしりと落ち着いていることです。
犬は常に飼い主さんの『反応』を見ています。
例えば犬が「これってどうなんだろう、、怖いかも、、」と思った時に飼い主さんも不安そうにしていると「やっぱりこれは怖いものに違いない」と思ってしまいます。
一方で飼い主さんが平常心でへっちゃらな顔をしていたら「あ、これは意外と大丈夫なのかも」と学んでいきます。

ポジテイブな社会化体験をさせる2つめのコツ


初めての体験にオロオロしている犬を『保護しない』ということです。

犬が怖いものに対して震えていたり悲鳴をあげていたりすると、ほとんどの飼い主さんは抱き上げて救出してしまい、それでは「怖かった!!」というだけの経験になってしまいます。

恐怖を克服するチャンスがないうえに、むしろトラウマだけを残してしまい、飼い主さんに抱かれることでしか、怖いことから切り抜ける手段を知らない犬になってしまいます。

なので、犬がびっくりして逃げようとしたり悲鳴をあげたりしても『助けない』そして飼い主さんが盾とならないようにちょっと移動して、犬が1歩を踏み出すチャンスを『奪わない』ということがとても重要です。

ただし相手が攻撃的ではなく、社会化が出来ている犬であることが必要です。

ポジテイブな社会化体験をさせる3つめのコツ


社会化体験というのはあくまで『犬主体の経験である』ということが重要なので決して無理強いをしないことです。

犬が自分のスピードで慣れていくことが大事なので、どうしても最初の1歩が出ない時だけ、その1歩が出るまでのみを手助けをしてあげます。
犬が嫌がっているのに抱き上げて無理やり近づけるのは「嫌だった」という体験になってしまいます。

抱かれてたら犬主体の体験にはならないので、必ず自分の足で歩かせて自分の意思で動けるようにすることです。

人との触れ合いも同じです。犬がまだ相手に対して不信感を持っているときに無理やり触られてしまうと、人に触られることが嫌いになってしまいます。

まだ心の準備ができていないのに無理強いをすると逆にトラウマを育ててしまいます。

最初は無視をしておいて、犬の方から興味が出て近づいてきたら触る。といったかたちで犬が自主的に動かないと意味がありません。

特に成犬の社会化は『時間がかかって当然』というくらいの気持ちで、犬が遠くから様子を伺ったり、少しづつ近づいてみたりしながら、自分のペースで克服するのを待ちましょう。

社会化体験がトラウマにしないためには飼い主さんが過剰反応を取らないことが重要です。

もし犬がケガをしていたら、傷を確認して動物病院へ連れて行きましょう。飼い主さんがパニックになることが犬にとって1番の非常事態です。

なので落ち着いて対処したり、上手に切り抜ける事で犬もストレス耐性がついていきます。

そして、逃げ場となる飼い主さんがいない方が社会化がスムーズに進むこともありますので、たまにはペットホテルに預けたりなど、いろんな経験値を増やすものいいでしょう。


大切なのは成犬になっても諦めず、1歩1歩少しずつ進むことが大事です。



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