ヨーロッパ旅行(移動編③)
昨夜、明日行く予定のヴェルサイユ宮殿の回り方を調べていた私に悲報が届いた。
2月17日はドイツに全空港でストライキが起こる為、シンガポール航空の全便が結構するという内容だった。
私は動揺した。
日本に帰れないじゃないか!!
2月17日の深夜の飛行機に乗り、2月19日の朝方日本に帰国して、その日行われる中学校の同窓会に参加する予定なのだ。
どうしても同窓会に参加したい私は、いろいろな航空券比較サイトを調べて回った。
調べていくと、ストライキ以降の航空券は相当値上がりしていることがわかった。
その一方で、明日の便はまだ安いのが残っているみたいだった。
私は母親に相談した上で、ヴェルサイユ宮殿に行くのを諦めて、早めに帰国することを決めた。
苦渋の選択だったことは言うまでもない。
ヴェルサイユ宮殿を捨ててまでも、同窓会にどうしても行きたかったのだ。
長期間にわたる旅行の疲労が、帰国を後押ししまくっていたのも否めない。
そんな経緯で、帰国の日を迎えた私は朝から荷物を纏めるのに苦戦していた。
服を入れたジップロックの空気を限界まで抜かないとリュックに入らないからだ。
私はもう少し大きなリュックを用意したら良かったなと毎日のように後悔していた。
なんとか荷物を詰めて、ホテルをチェックアウトした私は空港に向かった。
空港に着くとすぐにあまりの人の多さに驚かされた。
みんな早く変える為に必死なんだろうな、私も含めて。
私はチェックインをしようと列に並ぶが、長い行列ができていてなかなか進まない。
出発の2時間半前だからなんとかなるだろうとたかを括っていた私は、呑気に読書をしながら並んでいた。(私は飛行機に乗る経験がとても少ないです)
しかし、1時間が経っても数十メートルしか進まないので、さすがの私も焦り出した。
これはもしかしてもしかすると私は飛行機に乗れないんじゃないか。
焦りがどんどん募っていく私とは裏腹に、列はゆっくり落ち着いて数メートルずつ進んでいった。
ようやく、チェックインが終わった時点で、すでにフライト時刻の1時間前になっていた。
急がなければと思いながら、出国審査に向かったのだが、こちらも大行列ができていた。
私の頭の中でゲームオーバーのBGMが流れた。
私はどうしようか考えた末に、拙い英語で「出国の時間が迫っているので、先に通してください」
と空港のスタッフに伝えた。
しかし、「みんな同じです」と断られた。
もしこのまま飛行機に乗れなかったら、10万円くらいの飛行機代をドブに捨てることになってしまう。
もはや半泣きになっていた私は、行列が早く進むこと祈ることしかできなかった。
フライト時刻が30分前を過ぎた辺りで、アナウンスが流れた。
「ドバイ行きのフライトに乗られる方はこちらの列に並びください。」
そのアナウンスを聞いた瞬間に、私は救われたと思った。
私は行列を傍目にすいすいと進み、出国審査まで辿り着いた。
なんか自分が大富豪にでもなった気持ちになった。
ユニバやディズニーの優先チケットを持っている人はこんな優越感に浸れるんだなぁと思いながら、私は出国ゲートを通り抜けた。
その後も混雑していたが、「私はドバイ行きの飛行機に乗ります」という魔法の言葉を駆使して、保安検査を乗り越えた。
しかし、時間はあまり残っていないので、内心ヒヤヒヤしていた。
私はなんとかフライトの5分前に飛行機に搭乗することができた。
本当に最後の最後まで手に汗握る搭乗手続きとなった。
席に座った瞬間に、2週間に渡るヨーロッパ旅行の疲労が一気に私の体に押し寄せてきた。
機内食を食べた私は泥のように眠り、気づけばフライトから8時間経っていた。
それだけ疲れが溜まっていたのだなぁと改めて感じた。
私の初めてのヨーロッパ一人旅は最後の最後で思わぬアクシデントに見舞われたことを除けば、とても充実していたように思える。
そして、私は2月17日の夕方、日本に帰国した。
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