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ヨーロッパ旅行(ドイツ編⑦)

旅行4日目の夜。

夕方ベルリンに移動した私は、ホテルで晩御飯を何食べようかと考えていた。

そして、あることに気づく。

「ドイツに来てからちゃんとしたドイツ料理ほとんど食べていない!!」

これじゃあ帰国後、料理のこと聞かれたらはぐらかすしかなくなるではないか。

それに、SNSで海外いるアピールしてる癖に現地の料理を食べていないなんて、どのツラ下げて日本に帰ったらいいのだろうか。

ということで、私はホテルから19時の真っ暗なベルリンの街へ飛び出した。

吐く息が白い。そして、とても寒い。ベルリンの地面は凍っていて、雪も少し積もっている。

ベルリン中央駅から少し外れた路地を歩く。

辺りは真っ暗で、車道の両脇に数十台の車が停車していてとても気味悪かった。

荒野行動の世界だったら、車の視覚から敵が発砲してきそうだ。

私は小学生の頃、一人で夜道帰る時、怖くて走っていたことを思い出した。

異国の地の夜は、こんなにも心細いのだ。

怖いながら写真を撮ったらブレた公園の写真

私は携帯でGoogleマップを見ながら、周囲を見渡して歩く。

性悪説を信じている私はいつどこから不審者が現れるかわからないと、注意センサーを最大限に働かせた。

すれ違う人全員が、私をあの手この手で狙っている極悪犯のように思える。

向こうから歩いてくるガタイの良い男性は、W杯で日本がドイツに勝った腹いせに突然殴りかかってくるんじゃないか?

今お店から出てきた年配の女性は、私に話しかけて財布を狙ってくるんじゃないか?

なんて通行人の全てを悪人に決めつけて歩いていたら、Google マップの目的地に辿り着いた。

しかし、目当てのお店がどこにも見当たらない。

これはもしや私がすれ違う通行人を悪人に決めつけたバチが当たったのではないだろうか?

普通に考えたら通りすがりの日本人観光客を狙おうと躍起になっている人なんかマイノリティ中のマイノリティに決まっている。

みんなそんなに人生暇じゃないはずだ。

そう考えることで、私は若干楽観的になって歩けるようになってきた。

そんな矢先、バンッという音が聞こえた。

「えっ銃声??」「怖いんですけど」

私の心拍数が一気に上がる。

いや、待てよ。落ち着け私。

ここはアメリカじゃあるまいし、銃声なんてそうそうない。(アメリカでもそうそうないだろうけど)

荒野行動のことを考えていたからか、現実とゲームの世界がごっちゃになってしまって、幻聴が聞こえたに違いないと思うことにした。

急に怖くなってきた私は、ドイツ料理を食べることを諦め、近くにあった日本のラーメンに駆け込んだ。

店内は日本人の店長と数名の日本人のお客さんがいて、私はかなり安心した。

お腹が空いた私は、メニューを見ながらどれにしようかなと悩みながら、昨日の晩御飯の失敗を思い出していた。

チェーン店っぽいお店でシーザーサラダを頼んだら、私が大嫌いなキノコをふんだんに使った焼きそばみたいな料理が出てきて大変な目に遭ったのだ。

私の英語の発音がまずかったのだろうかと振り返ると同時に、今日は店員さんが日本人だし、日本語で頼めるなぁと目の前の店員さんに全幅の信頼を置いた。

お腹が空きすぎていたので私は味噌ラーメンと唐揚げ丼を頼んだ。

私は「久しぶりの米だ!」と一人ウキウキしながら料理が来るのを待った。

そして料理が来た。

私はうまそうな味噌ラーメンだなぁと思いながら、どんぶりの方にも目をやった。

あれ??

どんぶりご飯の上には唐揚げではなく、野菜の揚げ物みたいなのが何個か置いてあるではないか。

お店の間違いかな?と思いメニューを見渡した。

そして気づく。

これは「karaagedon」ではなく、「kakiagedon」じゃないか。

いや、日本語でも注文できないのかい。滑舌悪すぎだろ私!!

私はこの時感じた無力感を一生忘れない気がした。














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