見出し画像

若者の多さと労働について in ベトナム

 ベトナムは国民の平均年齢が33歳と東南アジアの中では高齢化している。もちろん日本の平均年齢48歳よりは若いが、フィリピンなどの平均年齢が20歳代の国と比べると高齢化が始まっている。

 そんなベトナムだが、街を歩いて観光する限りではとにかく若者しかいない。学校の下校時刻には学生服の子供が溢れて歩きづらくなるし、宿のレセプションや屋台の売り子も若い子ばかり。

 驚いたのは20代以下の若者だけで回しているレストランがチラホラあることだ。もちろんオーナーは別にいるのだろうが、客として利用するだけなら若者だけで運営しているレストランにしか見えない。

 そういった店で一度食べたが、若者だけで回している店は熱気を感じ、眺めているだけでも面白かった。そして何より応援したくなる。商売も美味いようで、私はフォーの他にビールを勧められたのだが、その値段がスーパーの倍だった。(それでも60円しか変わらないのだが) 私は酒はあまり飲まないのだが、若者たちのイケイケの熱にやられて、お布施のような気持ちで注文してしまった。そしてビールの注文を取っただけなのに大喜びしている姿に羨ましくなった。

 私はこれまでそういった楽しい気持ちで仕事をしたことはない。いや実は仕事しているときは何だかんだ楽しんでいるかもしれないが、今思い返す限りではないのだ。いつも死にそうになりながら働いていた。特に非正規の退屈な仕事で心が死んでいくのも、同僚とのマウント合戦も、意味もなく上司にペコペコしなきゃならないのもウンザリだ。

 だからベトナムの働いている若者を見て、羨ましかった。なぜ彼らは楽しそうに働けるのか? 自分たちで店を回しているからだろうか? 若者だけで仕事をしているからだろうか? 仕事に対して文句を感じないからだろうか?

 もちろん、羨ましいと思うのは私が外国人だからで、やっている本人たちからすれば日本で働くほうが良いのかもしれない。いくら日本が衰退しているとはいえ、アルバイトの時給は日本がベトナムよりも圧倒的に上だ。日本は田舎でも時給950円ほどはもらえるが、ベトナムでは時給100円前後と驚くほど少ない。円安と経済停滞で外国人実習生が来ないなどとメディアは言うものの、いまだに日本の街中でベトナム人を見るのは稼げるからなのだろう。

 だから私が彼らに羨ましさを感じるのは、おそらく無いものねだりなのだが、それでも楽しそうに働いている姿が羨ましかった。あれくらい楽しく働ける職場があれば、もっと人生も楽しくなるのだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?