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ICL手術体験記-内容・費用・考察-

ICLとはimplantable contact lensの略で、レーシックの次世代の近視矯正手術とされる技術である。

簡単に表現すると、「半永久的なコンタクトレンズみたいなもの」を眼内に埋め込むことで視力を矯正する。一度手術を行ってしまえば、その後は「裸眼」なのに視力が1.2とか1.5で生活することができる。プールや海もOKだ。

一般的なハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズとは異なり、ICLで使用するレンズは長方形?のような形で、中央や端っこに小さい穴が空いている。これを水晶体の前に埋め込むのだ。小さい穴は房水を通す穴で、眼圧が上がる(=緑内障)のを高確率で防いでくれる。この辺りの副作用などは後述する。ちなみにICLの添付文書はこちらからど。

実はもともとレーシックを受けるつもりで受診したが、自分の角膜は円錐角膜という歪な形をしており、レーシックは適応外であった。

したがって今回、品川近視クリニックでICLの治療を受けたのでレポートする。

1. レーシックとは何が違うのか

レーシックは角膜の表面をレーザーでカットし、「フラップ」という角膜の一部を剥がし、光の屈折度合いなどを計算し、改めて貼り付ける手術だ。

(http://www.miki-eye.com/lasik/visulasik.html より転載)

レーシックもICLも、片眼5-10分程度の手術で終了するが、角膜を切るかどうか、が大きな違いの一つである。あとの違いは正直、値段くらいだ(後述)。

細かい違いを見てみよう。

まずICLは後で(外科的に)取り出したり、新しいレンズを入れ直すことも可能だ。レーシックもICLも将来的に近視が再度進むことがあり得る(歳を取れば誰でも眼は悪くなる)が、その場合に何度でもやり直しが効くというメリットは大きい。ちなみにレーシックも2, 3回であれば施術は可能らしいし、レーシック後にICLを行うことも可能である。

2. 費用/手術の期間
ICLは両眼で50〜100万円程度、レーシックは両眼で20〜40万円程度である。自分は品川近視クリニックで両眼で47万円(税込)で施術を受けた。健康保険は非適応である。周術期の点眼薬や内服薬代、診察費、7年くらいの保証も込みの料金なので、相場からはかなり安い。聖路加国際病院や東京医療センターなど公的な市中病院でもICL手術はやっているが、どこも高い。

ちなみに友人紹介割引を利用すると5万円引きになるらしいので、今後同じ病院でやろうかな?と検討される方は、連絡を頂ければ「割引カード」?をお譲りする(直接的な面識が無くてもOK)。

手術はレーシックも、ICLも基本的に日帰り手術でできる。ただし3〜4時間ほど眼の検査を必要とするので、午前検査+午後手術または1日目検査+2日目手術というスケジュールが一般的だ。術翌日の検査は必須であり、手術翌日も1〜2時間程度空けなければならない。その後の検査は医療期間毎に異なるだろうが、品川近視クリニックでは翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後ぐらいの検査を受けるように言われた。なお検査は全て無料である。

3. ICL手術のデメリットの考察

メリットは明らかで、「眼が良くなる!」の一言である。以上。

デメリットに関しては以下の結論だ。

3-1.  将来視力低下または失明のリスクは?
特にホール型ICL(中央に穴が空いたやつ)は2014年3月に厚労省の認可を受けたもので、国内外で研究が少ない。当然、老眼や白内障など視力低下や感染や緑内障など失明のリスクは当然あるだろう。

3-2. 緑内障になるリスクは?
レーシックの場合は緑内障のリスクはほぼゼロだとの見解が多いが、ICLはどうか。ICLでは眼圧については術後10年で有意な増加は認められなかったが、10年後に12.9%、95%信頼区間:5.6~19.6%)に局所薬物治療を要する高眼圧症(緑内障症状)が認められた
(JAMA Ophthalmol. 2016 Mar 3.)

ただしこの研究では(1)レンズ中央に穴が空いていない旧式レンズを使用 (2)レンズ度数は-15.5D以上の最強度近視用が4割(レンズ度数が強いほど緑内障は発症しやすい)で緑内障症状の発症率はもっと低いと予想される。ちなみに緑内障の罹患率は日本緑内障学会の調べでは、40〜80歳の男女で5.0%程度である(日本緑内障学会「多治見スタディ」)ことを考慮すると、ICLによる増悪は数%ぐらいなのか。

3-3. 角膜上皮細胞が5年で5.3%減少する
Artisan社製のICL(前房型)を使用した173例308眼について術後1~7年間追跡調査したところ、角膜内皮細胞減少率は5年間で平均8.3%(加齢による自然減少を補正すると5.3%)であった、との報告がある。
(Ophthalmology 115: 608–613, 2008)

角膜上皮細胞は涙や房水から酸素や栄養を得ているが、ICLを入れると涙や房水の流量が減ることから、上皮細胞も減りやすい。ただし加齢に伴う上皮細胞の減少率も試算上は3.0%程度で、その差はΔ2〜3%程度だ。

この差が将来どれくらい影響するのかは分からない。
個人的にはよく分からない数字を議論するよりも、中期的〜長期的(?)な視力を優先することにした。


3-4. 白内障になるリスクは?
白内障とは水晶体という組織が白く濁る病気である。ICLでは白内障発症率は術後5年で40.9%術後10年で54.8%と少なくない。ちなみにそのうち、白内障手術が行われたのは術後5年で4.9%術後10年で18.3%だった。
(JAMA Ophthalmol. 2016 Mar 3.)3-2.同様、この研究は患者年齢層が30-40歳代と少し高めであることを考慮しても、白内障のリスクも数%は高まると考えた方が妥当だ。レーシック

による白内障発症はほぼゼロとされているので、その点ではレーシックの方が優秀だ。ただし白内障は50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代84~97%、80歳以上で100%で発症すると言われるので、個人的にICLを入れたからどうとかは関係ないと判断した。
(科学的根拠に基づく白内障診療のガイドライン)

白内障は手術で治せる病気なので、その時に手術をすればいいと考える。なお最近のレーシックでも「白内障手術にはほぼ影響ない」とコンセンサスを得られているようなので、白内障に関してはICLもレーシックも同等の考えで良さそうだ。

4. まとめ
副作用や将来的な「何か」を回避したいならばICLもレーシックもやらなければ良いだろう。ただせいぜい数%程度のリスク増加を受け入れるだけで、圧倒的なメリットがあるので近視矯正手術は個人的にはオススメできる。レーシックか、ICLかの選択は好みにもよるが値段で決めれば良いのでは?と思う。この記事を読んでいる方は何かしらレーシックやICLに興味があるはず。やらない理由を探すくらいなら、前向きに考えてみてはいかがでしょうか(責任は一切取りませんけど笑)

雑な結論で申しわけないいすいません!
以上!!

P.S
嫁は一緒にレーシックを受けましたが、かなり満足をしている様子


Twitterフォローお待ちしております。
@HideyukiYamoto


























































































































































































































































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