2024年の働き方トレンドvol.1 - Alternative Work Lab Letters -

Alternative Work Labは2023年12月に株式会社キャスター内に設立し、リモートワークや新しい働き方について研究、分析し、労働バイアスを解くことを目指している。今後、定期的にnoteやAlternative Work (株式会社キャスターのオウンドメディア)を通じて働き方についての最新情報やコラムを発信を行なっていく予定である。

vol.1となる本記事では、2024年の働き方についてのトレンドについてのコラムを書いていきたい。

ギグワーク

2024年の働き方においての最大のトピックはギグワーカーの本格普及、拡大であろう。日本ではタイミーが2017年からスキマバイトサービスとして開始しており、2023年12月現在で登録者が600万人以上、タイミー社の従業員も1000名以上となっており、ギグワークは新しい働き方の1つとして定着してきています。さらには、メルカリが「メルカリ ハロ」を発表し、2024年初春にギグワーク領域に本格参入することが発表されている。

今後もIT企業や大手人材企業などの参入可能性も考えられ、ギグワークという働き方が一気に当たり前の選択肢として普及してくることが予想される。すでに大手有名ホテルでは、チャックアウト後の客室清掃の仕事をギグワーカーとプロフェッショナルなスタッフをうまく分業することで人手不足をカバーしながらもサービスの質を担保しているという。Xで「タイミー」と検索しても多くの体験談が寄せられている。

日本では派遣会社が約2万社以上存在すると言われるが、派遣業に関しては日雇いが一部条件を満たす場合を除いて禁止されている。また準委任契約など一般的に業務委託契約と呼ばれる形態で行う場合、お店や企業は働く人に対して指揮命令ができない。そのことからタイミーなどでのギグワーカーはスポットでの労働であるが、その都度企業やお店と直接雇用契約を交わすことになる。もちろん毎回雇用契約書などを作ることは現実的ではないのでアプリやサービスを通して雇用契約が締結できるようになっている。それにより、企業やお店は比較的簡単にギグワーカーを雇うことはできるし、ギグワーカーも簡単に空いた時間に都合に合わせて働くことができる。

もちろん企業やお店はギグワーカーを有効に活用することによって慢性的な人手不足はもちろん、突発的な欠員への対応も可能になる。またギグワーカーも空いている時間に働くことができ、突発的な出費に対応することはできる。それ以外にも人間関係に煩わしさを感じたり、得意でないことが原因で固定した職場で働きにくい人がギグワークをうまく活用することで安定した収入を得ることも可能になる。

ただし、新しい働き方だからこそ、ギグワークの課題が明らかになってくる年でもあるだろう。以下で想定される問題について議論する。


労務管理の問題

1つ目に想定されるのは「労務管理」についての問題である。現在のギグワークの場合、仕事に申し込む際に働く時間も同時に決まる(例えば13:00-16:00での勤務など)。その時間と時給をかけ合わせたものが振り込まれることになるのだが、実際勤務をすると申告した時間ピッタリで勤務が始まり、終わることは想定しにくい。お店が混んでいた、接客や作業に想定以上に時間がかかったりすれば13:00-16:00の想定のはずが16:05まで働くことは十分にあり得る。現在の労働基準法では、働いた時間は1分単位で計算し、時給を支払う必要がある。これはもちろんギグワークであっても適用されるので利用企業はギグワーカーの労働時間を1分単位で管理し、タイミーなどのサービス事業に対して勤務時間を申告しなければならない。しかし、通常のアルバイトや社員と同じように勤怠管理をしていないのであれば全員を管理することは容易ではない。結果としてギグワーカーの場合、余計に働いた時間分の時給が未払いになってしまうなどのような労務管理の問題が発生する可能性がある。もちろん利用企業、ギグワークプラットフォーム運営企業ともにこの問題に対しての対応を考え、対策を立てていると思われるが、ギグワーカーやギグワーカーを利用する企業が増えてくると労務管理問題が発生するリスクはある。

収入の未申告

ギグワークが収入の主となる人もいれば、副業としてギグワークを行う人もいるだろうが、稼いだものはもちろん給与所得である。もし副業でギグワークを行う場合であっても年間の収入が20万円以上になるのであれば労働者は自ら確定申告を行う必要がある。今までも確定申告をしてきた人や仕組みに詳しい人であれば問題ないと思うが、ギグワークによって初めての副収入を得るような人もこれから増えてくるであろう。その人の本業分の税金については勤めている企業で年末調整などを行われるだろうが、確定申告に関しては自らで理解し、申告を行うしかない。しかし、初めて副業を行うような人からすると確定申告を忘れてしまう人が出てしまうかもしれない。ギグワークのように個人事業主に近いが、個人で給与所得を得ている人が収入を未申告状態にならない対策は必要であろう。
同じような理由でギグワークだけで週30時間以上勤務している人がいた場合に厚生年金などはどういった扱いにするのか、どの事業者が加入させる義務を追うのかなど、新しい働き方であるからこそ現行の法律では整理しきれていない問題が浮上してくるであろう。


Alternative Worl Lab Lettersでは、今後も働き方についてのニュースやコラムなどを定期的に発信していく。次回は2024年の働き方トレンドのvol.2を予定している。

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