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天皇賞春・傾向分析、全頭診断

 こんにちはヒデです。いよいよ春の最強ステイヤー決定戦天皇賞春が施行されます。今回も血統診断、分析をしていきましょう。できる限り頑張りましたので今回もよろしくお願いします。


傾向

枠・脚質

Point:内枠有利は過去のモノ。

→1枠が有利といわれる天皇賞春ですが、意外にも近年は外枠のほうが好成績。過去5回は6枠以降が3勝で3枠以内は2勝2着1回止まり。2勝もキタサンブラックとジャスティンパレス、2着もシュヴァルグランでともに菊花賞や天皇賞で好走歴のあった馬たち。実績がなければ内枠はこなすことのできない舞台です。
 一方で穴を開けるのは4枠で昨年のディープボンド、20年のスティッフェリオなど中穴から穴で人気している馬が多く、見逃せません。基本的に外目で狙っていくのが吉。6枠軸が最適な結果に。

Point:先行馬が活躍

→先行馬が強いという結果が出ており、力が相当なければ差しで勝つことはできません。差してきたのはフィエールマンやレインボーラインなど、こちらも勝ち切るには菊花賞での活躍が重要に。3着ならば流れ込める程度であり、差しや追込みにはあまり期待できません。先行馬を狙うのが重要になります。

ローテ傾向


Point:やはり上りは必要な舞台

→京都に替わった昨年も言いましたが、3角からの坂を下って一気に加速勝負になる傾向にある京都開催の天皇賞。昨年は結局そこから加速できたジャスティンパレスが勝利するなど、その通りの傾向になりました。実際に過去5回を見ても前走上り1位だった馬が3勝しており、残りの2勝も中距離で力を出せなかったケースがほとんど。長距離で上りの出せた経験のある馬に関しては注意しておきましょう。

血統傾向

Point:実直にサンデー系を狙うべき

 ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、この競走は過去10年に広げても勝利した経験のある種牡馬はサンデー系のみ。京都に復帰した昨年もこの傾向が持続していましたので、相当強いものと思われます。これを当てはめていくと今年もサンデー系を狙っていくべきであり、有力馬には疑問符が残ることに。それをどうするか見極めるのが今年のポイントになっていきそうです。


全頭診断

評価はSABCDの5段階。
Sは該当馬、勝利級の馬
Aは該当馬、連対級の馬
Bは馬券になる確率がある馬
Cは展開次第で馬券になる程度の馬
Dは今回厳しい馬
 
1.サリエラ
評価:B

 G1ホースの全妹として注目されながらもケガなどでうまく使えずに世代戦はローズS2着が唯一の実績。古馬になってからも重賞勝利はないものの、白富士S1着、ダイヤモンドS2着など実績を残す。この距離でディープインパクト産駒そして盾男、相手ならば。
 
 ご存じサロミナの仔。サリエラ自身はドイツの独オークスやハンブルク牝馬賞を勝利した経験のある馬であり、その産駒はたいていが活躍。サラキアは府中牝馬Sを勝利したほか、エリザベス女王杯や有馬記念では上り最速の2着と古馬になってから活躍。さらに半兄のサリオスも朝日FSを勝利したほか毎日王冠を2勝するなど息の長い活躍。本馬も5歳なった今でも活躍しており、息の長い活躍が見込まれる。
 ドイツ牝系一つのラインであるSのライン、シュヴァルツゴルト(Schwarzblaurot)から続くラインは中長距離で強さを見せている産駒が多く、長距離には下地のある牝系。そこに母父は菊花賞馬ダンスインザダークを出したNijinsky系で、父には天皇賞春を制したディープインパクトを迎えているとなれば、ステイヤーズS3着ダイヤモンドS2着の実績も頷ける。牝馬、G1実績など割り引く面はあるものの、上位評価に置いておきたい一頭。

2.ヒンドゥタイムズ
評価:C
 息の長い本馬は8歳にして2度目のG1挑戦の苦労人。昨年は小倉大賞典を勝利して大阪杯に参戦したものの、殿16着。以降は⑦⑦④⑫と完全に奮わず。唯一掲示板確保した京都大賞典は今回と同じ京都外回りではあったものの、重馬場。キレる脚もなく加速力勝負では厳しい情勢であることは変わりなく強気の評価は?
 
 牝系を遡ると米国にたどり着く息の長い牝系ではあるものの、その中に大舞台で活躍した産駒は皆無。一番出世したのが本馬と言っても差し支えない。さらに牝系の主張力が高く、断然キレるタイプというのが存在しないところも興味深い。近親にはレパードS2着のタイセイドレフォン、マイル近辺で活躍するショウナンアレスなどが存在しているが、ともに非根幹距離での活躍がメインになっている。これらを勘案すると本馬もパワータイプであると判断するのが妥当で、瞬発力を求められやすい京都競馬場には向いていないものとかんがえられる。よって血統面からの強調も厳しい。

3.プリュムドール
評価:B

 馬体の完成が遅く、2歳の新馬戦からデビューして初勝利は3歳初夏。終盤までくすぶっていたが、その後は順調に勝ち進み、4歳10月にオープンクラスへ。その後ステイヤーズS2着の実績があったものの、順調に使えずこれがオープン3戦目。使われていない分フレッシュさはあるが、休み明けいきなりのG1となれば勝ちまでは?の不安は残る。絶好枠、長距離男の騎手を配して穴馬としての妙味は十分。
 
 半世紀育まれたタニノ牝系で、近親には東京優駿制覇のタニノギムレット、ダイヤモンドS3着のタニノタニティ、同3着のタニノエポレットなど中長距離での事績が目立つ。本馬からみて叔父にあたるハギノアレグリアスは名古屋大賞典勝利など中距離ダート戦線で活躍。長距離で活躍する下地のある血統。
 そこに現役時代天皇賞春を2勝した父ゴールドシップを迎えたのはまさに鬼に金棒。長距離の延長というのは成績が向上する条件だし、500m以上の延長でその効果は更に上昇する。さらに内枠というのは気合をつけて走りたがる同産駒が得意とする条件で延長から一気に上がりを使って上昇することも可能。一発のマークが必要。

4.ワープスピード
評価:B

 勝ち味に遅いタイプで、初勝利まで8戦を要した。さらにオープン昇級までは19戦を要した苦労人(馬)。ただ、3勝クラスからは安定しており、3勝クラス昇級からここまで③④①④③②と常に安定。特に古都Sからは3000m以上に照準を合わせて使ってきており、その安定感は侮れない。内枠をうまく捌ければ馬券圏内まで見えてくる。
 
 ドレフォン産駒には珍しい(唯一に近い)長距離馬。この距離適性は牝系に由来しており、半姉のディヴァインラヴは菊花賞2着の実績を持っている。4代母は芝中距離G2ラスパルマスH2着程度ではあるが、遡れば遡るほど長距離適性のある馬にたどり着く。基本的には米国での活躍が目立つ一族ではあるが、一時期短距離に適性が向いていたが先祖返りとなったような形だろう。日本の芝には高い適性を誇る傾向。
 ただ、条件の得意不得意は父ドレフォンから遺伝しているようで、内枠は苦手の傾向を示している。今回は枠が有利と思われ気味だが、事実は真逆という事実が突き付けられる傾向に。血統面からの強調は難しい。

5.ブローザホーン
評価:B

 初勝利後は安定して昇級を続けていき、昨年5月の京都でオープンクラス昇級。夏は札幌日経OP、明けて今年は日経新春杯を勝利。前走は初の3000mで不安もあった阪神大賞典でも3着に入るなど、中長距離では安定感抜群。キレるような脚はないものの、距離適性は上位でバテない脚を強みに立ち回れば連も。
 
 牝系はペルーでも活躍する一族。近親ジョーヤマトはダイヤモンドS2着の実績があるなど、長距離に明るい牝系が光る。それだけに父エピファネイアを迎い入れたのは最初から長距離に狙いを定めた配合と言える。それが成就した形の天皇賞出走はそれだけ活躍する見込みがあるということ。
 それでも心配なのは瞬発力を補完する要素が少ないこと。実際に瞬発力が足りていないのは戦歴が示す通り。上り最速の経験はあるものの、生涯で33秒台を叩きだしたことはなし。天皇賞春は33秒から34秒台前半の上りを必要とする場合が多く、そのようなレース展開になった場合は不利になってしまう可能性も。紐にはいいが、本命というようなタイプではないように思える。

6.ディープボンド
評価:B

 重賞初勝利は京都新聞杯。その後は同世代同馬主のコントレイルと三冠2戦を走り⑤④と善戦。古馬となってからは長距離に照準を合わせ阪神大賞典連覇、天皇賞2着3回、さらには有馬記念2着の実績。しかし近走は不調で、昨年のジャパンカップから⑩⑮⑦と奮わず。体調がポイントになるが、和田竜二騎手が乗らなければ奮わないタイプなので本馬の強味を活かせるかも同時にポイントに。様々な注文が付く。
 
  日本の祖は1941年の阪神優駿牝馬を制したテツノバンザイ(=英月)から続く英月牝系。そこからケンタツキー牝系に替わり多くの産駒を輩出。その中には阪神大賞典を制したニシノライデンや宝塚記念を制したカツアール、そして天皇賞を制したクリヒデなど中距離以上に絞ってもここまで活躍馬が揃っている豪華な牝系。長距離の適性は申し分ない。
 そこにキズナを父に迎えたのだが、その距離適性はキズナ産駒全体のものではなく、本馬のみのもの。これは牝系の距離適性やリファールのクロスが内包しており、長距離適性ができたが合ったものといえる。基本的にキズナは叩き良化型と言え、昨年は阪神大賞典5着から天皇賞春3着。今回も二走目という強味を活かせれば好走もありそう。今回の内枠はそのやる気を引き出すにはちょうど良い枠に入ったといえる。G1二走は厳しく、前走は休み明けと考えれば今回馬券になってもおかしくはない。ただ相手程度。

7.タスティエーラ
評価:B

  サトノクラウン産駒の出世頭で、その戦歴はもはや説明不要。ディープインパクト記念を制して三冠ローテに入ると、ダービー制覇を含む全連対。底力という面では群を抜いている。古馬との争いに入ってからは有馬記念6着、休み明けの大阪杯は11着と苦戦を強いられているが、前走は完全な馬体ではなかった。今回は馬体も充実、菊花賞2着のモレイラ騎手とのコンビ復活で光明も。

 まさに底力の高い牝系で、近親には8歳でG1連勝を含む3連勝で引退したカンパニー。それを筆頭にオーストラリアのG1を制したトーセンスターダム、天皇賞秋を当時のレコードで勝利したトーセンジョーダン、トーセンホマレボシなど名馬が並ぶ。米国で育まれた牝系ではあるが、欧州系との相性がピンズドであることはバランスを考える上でも重要なことであると言える。
 本父サトノクラウンはMarjuを介してラストタイクーンに繋がる欧州を代表する短距離血統ではあるが、Marju自身が英ダービー2着の実績があるように中距離実績があった他、父サトノクラウンも宝塚記念を制覇するなど中距離で活躍する下地があった。その影響かサトノクラウン産駒は中距離以上での活躍が多く、特に母父サンデー系となればその安定感は上昇する。今回は叩き2走目であること、複勝率も高い500m以上の大幅距離延長をしたことで自身のレンジに入った事を勘案すれば逆転があってもおかしくはない。

8.ゴールドプリンセス
評価:D

 上り馬の4歳牝馬。戦績は安定していないが、大敗後によく走り穴を開けつつ昇級。2月の阪神3000mで施行された松籟Sを勝ち上がってオープン入り。追って味のある長い末脚が武器で、生涯上り3位以内を外したのは1度のみ。のびのびと走れれば驚異的ではあるが、今回はメンバーが揃った事、昇級戦では毎度苦戦を強いられているところをみれば過度な期待はできない。昇級戦組はこのG1で好走できないのもこの馬にとってはマイナス。
 ゴールドアクターと同馬主の配合で父・母ともに同馬主親子。牝系はフランスから輸入された血脈ではあるものの、活躍馬に乏しく、勝ち上がりはするものの、出世した馬は皆無といった実績。
 配合的にはかなりバランスを意識した配合であり、ゴールドアクター(至グラスワンダー)と母父キングヘイローという配合は距離に融通が効く反面ある程度スピードを確保したい思惑が見え隠れする。瞬発力を補完しながらHaloのクロスを入れることによって芝で必要なパワーを引き出している配合。ただ、やや全体的に重めの血統配合で、今回強さを発揮できるかは微妙なライン。道が多少なりとも渋ってくれれば勝負になるかもしれないが、そうではない今回は厳しいイメージを受ける。阪神などの坂ありコースで輝く馬で今回は?

 

9.シルヴァーソニック
評価:A

 衝撃的な落馬からもう2年。その後はステイヤーズS1着、サウジ・レッドシーターフ1着、昨年の天皇賞春も3着と実績を残したものの球節炎を発症し休養。球節炎自体は珍しいものではないものの、ここまで長い間休養していたのは珍しいことであり、精神面を含めてその回復度には疑問が残る。それが阪神大賞典での大敗に繋がっているのであれば今回も実力どおりに走れない可能性も。前走を叩きと割り切れば不安はないものの、アテまで。
 祖母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞を制し、距離馬場問わずに好走できる牝系であり、日本でも京王杯スプリングCを制した外国馬(馬主は吉田照哉)。そこから牝系は発展を続けており、兵庫CSを制したゴールデンチケット、みやこSを制したロワジャルダン、阪神牝馬Sを制したエアトゥーレに小倉記念を勝利したクランモンタナなどその活躍は多岐にわたる。
 とりわけ父にサンデー系を迎えると期待どおり芝で好走することが多く、オルフェーヴル産駒の本馬が芝を主戦場に活躍している事も納得できる。父方に入ってるノーザンテーストの5×4が本当にいい仕事をしており、長距離適性は言わずもがな。さらに成長力も高いものを誇っており、逆転に期待したくなる下地は揃っている。それだけにノーマークは危険で、馬券には必ず入れておきたい一頭。

10.サヴォーナ
評価:D

 昨年は神戸新聞杯2着後菊花賞掲示板確保の5着。その後は日経新春杯2着、阪神大賞典6着と好走と凡走を交互に経験。中距離が合っていることは明白でも長距離と呼ばれる距離になった途端入着が一杯のレベルになってしまっている事を考えると長距離適性には疑問符が残る。腕利きのステイヤーが集う今回のようなハイレベルな一戦の中に入ってどこまでやれるかといった所で目処は立たない。
 父キズナ母父スニッツェル、近親には小倉2歳S2着のレオパルディナと額面どおりに受け取れば完全に3200mは守備範囲外。それでも中距離適性が高いのはキズナが主張しているからと考えるほかにない。
 それを基準にするならば前述のとおり、キズナ産駒の限界は2600m付近にあるため、長距離適性という面ではかなり劣っている。今回も展開のハマり待ちとなるほかなく、上り目はあまりない。菊花賞のような最後方から一気の進出でどこまで伸びるか勝負に賭けるしかないというような現状で強調はしづらい。

11.マテンロウレオ
評価:C

 昨年の京都記念ではアッと驚く2着、その後は大阪杯4着、天皇賞春5着と健闘を続けたが、近走はG3レベルでもその競馬から脱することができていない。前走は久々得意の内枠で奮起が期待されたものの4着どまりと今一つ流れに乗り切れていない。あまり得意でない一気の延長で臨む今回は昨年以上の成績を求めるのも酷で、過度な期待をかけることはできないと言える。
 マテンロウ系の牝系で、近親には函館記念を制したマイスタイル。牝系の祖は米国に起源があり、遡るとビリーヴージャンダルムやフィドゥーシアがいる一族。牝系的には短距離から中距離に適性があり、長距離適性という面では疑問符が残る。
 そこにハーツクライを父に迎えたため近新馬よりも中距離に適性が高くなった印象を受ける本馬ではあるが、それにしても好走レンジはせいぜい2400mまでで、昨年のような勢いに乗っていないと長距離をこなすのは難しいと思われる。前走の善戦は逃げの手を打ったことで京都記念からの先行路線変更がハマった感はあるが、マイナス面を勘案すると今年も入着程度であることは避けられず、厳しい展開であることには変わりがない。 

12.ドゥレッツァ
評価:A

 新馬戦こそ3着と惜敗もその後は連勝街道を突き進み、ついにはクラシック初参戦だった菊花賞まで制覇。世代屈指の実力を有していることは疑いようがない。長期休養明けで59㌔を背負わされた前走金鯱賞は2着ではあったが、馬群を捌けず内から外に切り替える
などロスの多い競馬で2着確保はそれが実力の証左。実力が疑問視されている世代ではあるが、菊花賞馬で2着に3馬身半付けた実力は古馬をねじ伏せるに足りる。有力馬の1頭であることは疑いようもない。
 母モアザンセイグリッドはニュージーランドオークス(芝2400m)を勝利した。母父More Than Readyは距離不問で多くの活躍馬を輩出した。牝系も中距離を中心に活躍。 そのような背景の中、父ドゥラメンテを迎えた本馬はHaloの4×4、ノーザンダンサーの5×5のクロスを保持。Haloクロスにノーザンダンサーのクロスを双方持っている馬に天皇賞春2着のシュヴァルグランがいるなど調教距離に明るいクロス。
 ドゥラメンテ産駒の長距離適性についてはもうすでに説明不要で、初年度産駒からいきなり菊花賞馬タイトルホルダーを輩出。今回の条件はまさにドゥラメンテ産駒の十八番条件で、根幹距離、前走500m以上の延長、充実期とすべてを兼ね備えている役満状態。それだけに簡単にコケるとは想像しにくく、充実一途。レースをしっかりこなしてくる可能性も大いにある。上りを使えている現状だけに、この馬が人気を裏切るシーンは考えにくい。

13.スカーフェイス
評価:C

 昨年の春に大阪城Sを制して以降は阪神で入着するのが精いっぱいという競馬が続いており、衰えが顕著になってきたというところ。気分よく先行できればチャンスはあるのかも知れないが、それをクリアするためにはかなりの条件が必要であり、強調材料はそこまで多くない。今回も厳しい戦いが続くか。
 母スプリングサンダーは阪急杯2着など短距離で好走していたが、近親には天皇賞春を制したスズカマンボ。さらに遡るとダンスインザダーク、ダンスインザムード、エアダブリンといった中長距離馬が並ぶ。牝系全体的には中長距離適性の高い一族。それだけにこの距離への挑戦は納得できるところ。ただ母父クロフネではチェスナットコートのように中距離限界という結果も残っており、全幅の信頼を置くことはできない。
 前述のとおりになってしまうが、ハーツクライ産駒は急激な距離延長を得意にしていない側面があり、その面からも期待することはできない。さらにハーツクライ×母父クロフネの組み合わせは短縮のほうが得意な硬めの産駒が多くなる傾向にあり、今回の条件に関しては正反対の傾向を示しているというような状態。過度な期待は酷か。

14.テーオーロイヤル
評価:B

 4連勝でダイヤモンドSを制し天皇賞3着となったのは22年。その後は長期休養もあって低迷が続いたが、昨年のステイヤーズSで2着と復活。その後ダイヤモンドS阪神大賞典連勝で臨む今回は、22年同様主役として登場。その先行力と末脚は群を抜いており、ダイヤモンドSでは上り最速33.7秒と異次元の時計。この時計が出せれば今回も主役候補となって間違いない。

 近親的にはメイショウ牝系で、半兄は帝王賞連覇のメイショウハリオ。近親にはアルゼンチン共和国杯で2着となったメイショウカドマツ。さらに遡ると世界中で勢力を拡大したコートリーディーのファミリーラインで、日本でも血統表で見ることのできるGreen Desertや阪神3歳牝馬(阪神JF)勝利のヤマニンパラダイス、ノースリーズンなどがいる豪華な牝系。
 そこに父リオンディーズ母父マンハッタンカフェを迎えることでサンデーサイレンスの4×3、Hail to Reasonの5×5のクロスが完成(ミスプロの4×5も内包)。これにより距離適性は母父マンハッタンカフェから、サンデーサイレンスのクロスで持続力を、さらにhail to Resonのクロスからスピードを伝播されたことによって長距離でも早い上りを持続することのできる本馬が完成したと考えられる。そうなれば当然今回の距離も歓迎、心配なのは枠だけに。枠に目を瞑るならば本命でも間違いない。
 
 
15.メイショウブレゲ
評価:C

 デビューから燻ぶり続けており、3歳1月にデビューして以降8か月あまりで13戦を経験してようやく夏の小倉で勝ち上がり。そこからも3勝クラスで燻ぶった期間はあったものの、今年1月に参戦した万葉Sで格上挑戦ながら勝利。一気にオープン馬への仲間入りを果たしたが、その初戦となった阪神大賞典では8着と敗北。オープンクラスでは対等でも重賞競走となるとまだ差があることを露呈してしまった。初勝利以来の傾向から非根幹距離で芝的なパワーが要求される舞台で輝いているだけに今回の舞台は適性をうまく発揮できない可能性もあり強調はできない。
 サイアーラインを遡るとブリーダーズカップジュヴェナイルなどG1を5勝したシルヴァービュレットデイが近親にいる血統で、米国に色の強い牝系。ただ、パイロ産駒だった母メイショウスイヅキは短距離戦を3勝と距離適性は完全に父ゴールドシップ由来のもの。サンデーサイレンス3×4で持続力を補完しており、冬のタフな芝やローカル中距離向きの配合となっている。
 その影響か勝利した舞台も上記の舞台が大半となっており、天皇賞春の適性とは似ても似つかぬモノになってしまっているのが懸念点。もともと勝ち味に遅いタイプでもあるし、いきなりジャイアントキリングをするような牝系でも配合でもないため、過度な期待はできないところ。血統の相性は悪くないが、静観が妥当か。

16.チャックネイト
評価:A

 2勝クラスだった昨年の夏から覚醒を果たし、以降は大きな敗戦がないままオープンに昇級。昇級後もアルゼンチン共和杯で3着、前走AJCCでは勝利を飾って一気に重賞勝利騎手の仲間入りを果たした。器用なタイプで、先行すればしっかり最後まで一定の脚を使い続けられるし、差しに回れば標準以上の末脚を繰り出すことも可能。今回は大きな距離延長というはじめての試みとなるが新馬戦→未勝利戦時に600mの延長の経験もあり、この経験が活きれば活躍の可能性も十分。

 母ゴシップガールは米アメリカンオークスを勝利した実績馬。近親Kingsbams Kingsbamsはルイジアナダービーを制しているなど、米国中距離界隈で実績を残している。さらに遡るとレリッシュザソートがおり、欧州でも活躍馬が存在するなど、場所を問わずに活躍している牝系。
 中距離では抜群の安定感を誇るのは父ハーツクライを迎えた影響が強く、牝系とうまくマッチしているからこそ。2400mでも早い上りを使えているのは、やはり Hail to Reasonのクロスが入っていることが影響していると推測できる。延長もおもったより対応できている印象であり、特段の割引要素にもならない。そう考えるならば今回も馬券の相手に入れておくのは戦法としてはアリ。ただ、貧乏器用で相手なりというところもあるため、頭までは不安が残る。 

17.スマートファントム
評価:D

 出だしは出遅れて初勝利は3戦目。その後も1勝クラスで善戦を続けるにとどまっていたが、夏に同クラスを突破すると神戸新聞杯挑戦後、休み明けを叩いて2連勝。年明け以降は連勝でオープン馬の仲間入り。昇級戦となる今回はいきなりの大舞台で苦戦を強いられる可能性も高い。さらに道悪に強く、坂のあるコースも得意なため今回のコースとは条件が合致するかは今一つ未知数。

 近親馬には京王杯2歳Sを制したマイネルレーニア、さらに遡ると京阪杯を制したイクノディクタスに辿り突く牝系。イクノディクタスは距離に融通が利いたものの、気性に難があれば直ぐに短距離に向いてしまうような牝系。気分で走る米国由来の牝系であるということがはっきり出ているといえそう。同馬も出遅れたりするだけに、その気性面での課題はクリアできているとは言い難い所。
 父ハービンジャーを迎えて母父ディープインパクトで理想的なLyphardクロスが入っている。これで長距離に適性が出てきているというのは明白だが、スピードを補完する血統が少ないのもまた事実。徐々に加速して止まらないタイプであり、一気に加速していくようなレースには向いておらず、直線に坂がないほか、瞬発力を求められる今回のレースはか安全にレンジの外。静観妥当。

18.ハピ
 評価:C
 デビューはダートで3連勝。鳳雛Sを勝って一気にダート戦線の中心に踊り出ると、JDD3着、チャンピオンズC3着と活躍。その後も安定して着内を確保していたものの、ダートで勝ち切れないレースが続いた時芝へ転向。前走大阪ーハンブルクCではじめて芝を経験して人気はあったものの9着。芝をあきらめるかと思いきや大舞台への挑戦。芝では未だに未知数でアテにはしにくい。
 
  祖母カリフォルニアネクター (California Nectar)はダート7FのG2、サンタイネスS勝ち馬。同馬は中距離で活躍も近親は短距離で活躍。基本的にはスピードを補完している牝系であると言っても過言ではない。ここの兄弟だけが中距離に適性があるかたちに。 基本的には短中距離のダート適性が高くなっていると考えるのが妥当。
 キズナを迎えたことによって中距離適性は高められたものの、長距離適性があるかどうかは未知数。どちらかと言えばない可能性が高い。瞬発力もダートではあるといった程度で、芝の一流どころの揃ったこのメンバーに入ってうまく立ち回れるという可能性はあまり高くない。それだけに、穴馬の候補としてあげるのは良いが、それ以上は現状求められない。外枠のロスも致命的になる可能性もあり、評価を下げておいたほうがよさそう。

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