□□ #9


 ほらね。綺麗に壊れた。ぴったり八本目を超えた。未来が分かるのではなく、そこに合わせて壊れに行くのだ。あーあ。真っ直ぐよまっすぐ。寄り道することなく飛び降りた。

 無音のイヤホンを付けている。自然の音をデジタルに変えて、全て偽りにして、それが真実になるまで聴き続けるんだ。

 全く秘密を抱えて嘘を着き続けるのも疲れるさ。飯すら喉を通らない。ろくに眠れないのに異常に眠い。困ったもんよ。おえ。
 失恋に近いのかもしれない。何かしらの喪失感。頑張って嘘をついて、まだ大丈夫と言い続けたその何かを目の前に突き付けられた時、人は堕ちるのだ。その何かが起きた時では無い。実感した時なのだ。信じなければ、騙し続ければそれは存在しなかった。そうして逃げ続けて、そして辿り着く。それがここなのか。


 我、真宵惑いを纏う
             ってな


 そしてそれは、私には必要なことなのだ。私は無駄なことはしないのだ。ここに来る必要があった。この場所を超えるから、私は再び潔白になれるのだ。そう思ってないとやってらんないよな。
 クソが。


 仕事中もずっと頭から離れなかった。取り憑かれたように何かを見続けてさ。けど分かったこともある。たった半年で、僕は涙を零すのが許せなくなった。たった1秒で、その全てを思い出した。もう終わりだよセカイ。
 あんたの目的はたった一つだし、それはとうに自明の事だし、それは、それだけしかないじゃないか。取り憑かれるのはそこだけでいいんだよ。産まれてからずっとそれだけを求めてきたじゃないか。僕が見たのは真実であって、それは偽りじゃないんだ。それはとてつもない引力を持っているけれど、受け入れるほどに離れていく。離れるほど、近づいていく。そんな真理、とっくにわかってるじゃないか。

 お前はどこにいる?いい加減にしろよ。
 さっさと逃げ出せよ。
 理不尽に怒り狂えばいい。




真宵惑い纏う
美しさだけを赦す


俺に触るなってな

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