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願わくは/願えども

いつも雨だった

幾多の問題をクリアして
やっと会える日が近づくと天気予報の降水確率はぐんぐんと上がっていく


アメオトコ×アメオンナ
ふたりを知る数少ない友人は
僕たちをアメフラシって呼んでいたんだ
非定型な僕たちにぴったりだと
密かに気に入った呼び名だった
奴には言ってやらなかったけどね


僕たちは雨が好きで
何故ならひとつの傘で
人混みでひとつになれるからさ
アメフラシみたいにグロテスクになったって
誰にも見咎められないだろう?

はじめて会った日も
最後の日も
覚えちゃいないけど
そりゃきっと、雨だったに違いないさ

なんて、本当はしっかり覚えているんだ
酔っ払ってずぶ濡れで
手を繋いで
めちゃくちゃなキスをして
きみの顔は酷いもんで、あの黒い涙を
ぼくはきっと
ずっと忘れない

いつも雨だった


だけど今は
こんなに晴れているんじゃないか
アメフラシは消えて
願えども叶わず
雨はもう降らない
降ったってもう
ぼくはきっと気がつかないのさ
きみもきっとそうだろう
 
晴れた空は
もうぼくにグロテスクな安らぎをくれない

ぼくのアメフラシ
きみもどこかで
乾いているのかい?



#詩 #うた #歌 #恋愛 #空 #雨

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