見出し画像

#3 「美容師という職業を選んだきっかけ」  妹の髪を切らなくなった日。


今週のお題は
ヘッドスパのスペシャリスト macoちゃんから、

「美容師になったきっかけ」


僕は、
両親が美容師で、
叔父叔母も美容師で、
小学校の時から周りには美容師ばかりで
気づけば美容師目指してた。


なんだけど、

美容師になりたいって言えなかった


小学校低学年の時に、
将来の夢は?
っていう質問に、美容師っていうのがなんだか恥ずかしくて
プロ野球選手とか、宇宙飛行士とか、適当に書いてたのを覚えてる。

幼稚園、小学校低学年の頃、泣き虫でいじめられっ子直前で、
自信もなく、勉強もスポーツもできない子やったからな。
美容師って書いたら
「英樹オカマやん〜」とかっていじられるのが
怖かったんやと思う。

家で妹の髪を切る

外(学校)では内気な子で、
休み時間も一人でアスレチックで遊んでるような小学生が
家に帰ると、
一つ下の妹の髪をよく切ってた。
鉛筆立てに入ってる、
父母が使わなくなったであろう美容師用のハサミを使って
見よう見まねで妹の髪をザクザク。

母が家に帰ってくると、決まって
「英樹ーー!!あんた!!
またミヤコ(妹)の髪切ったやろ!!
ヤメなさい!って言ってるやろ」

って怒られた。

あの時は、
なんで毎回毎回髪切ったのがバレちゃうんだろう。
って小さいながらに思ってた。
ほんで、懲りずに
今度こそは!って妹を座らせて
ザクザク髪を切って、
「ミヤコ、おかんに髪切ったこと絶対言うなよ。
言ったらしばくからな」

って言って言い聞かせた。
ミヤコは嬉しそうに
「うん!言わへん!」
って言って、二人でドキドキしながら母の帰りを待ってた。

ほんで、帰ってきた母に、
一瞬でバレて、
こっ酷く怒られる。

何度繰り返したんやろ。
今思えばアホやな。

その後も、
何回怒られてもドヤされても
懲りずに妹の髪を切り続けた。

妹の髪を切らなくなった日


小学生2か3年生くらいやったと思う。
ある日、同じように妹の髪を切って
母が帰ってくるのを二人でドキドキしながら待った。

車の音がした。
母が仕事を終え帰ってきた。

僕は部屋の隅っこに行って、
妹はバレるなよ〜って不安げな顔で母を見上げてた。
母は台所に入ってくるなり、
妹の前髪を見て、

「あんた!また切ったん!!
。。。。
なかなかうまく切れてるやんか。
やるやん」


母のその言葉が嬉しくてたまらんかったのは覚えてるねんけど、
そっからの記憶がないんよなーーーー


でも、この日以降、妹の髪を切った覚えはない。

ほんで、この日、

俺は美容師なんや

って確信したんやと思う。

美容師になるって決めてからは、
覚悟が決まったからなのか、
自信が湧いてきて
運動もできるようになり、
勉強もまぁまぁできるようになり、
友達もたくさんできた。

授業中は工作バサミで開閉の練習をし、
高校生になって、
野球部の部室の前でみんなの髪を切り、
風邪をひいたふりをして高校をサボってヘアーショーを観に行き、
野球で目を怪我して、眼帯つけたまま友達の髪を切って耳も切り、
録画してたシザーズリーグを何回も観て、
学祭でクラスのみんなを巻き込んで美容室をオープンし、
ムカつく先生たちの髪をことごとく切ってみんな同じヘアスタイル(ツーブロック)にしてやった。
その姿に惚れてくれた子を彼女にした。

なんかええ話やったのに途中から逸れたな。


なので僕は美容師です。




fin.


髪切ります