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数学の小ネタ#8 連分数

 分数の計算が苦手な人は少なくないでしょうが、分数をもっとややこしくした連分数れんぶんすうというのがあります。連分数とは、分母に更に分数が含まれているような分数のことを指します。特に、分子が全て 1 である場合には、単純連分数または正則連分数と言います。一般的に連分数は次のような、入れ子の形をした分数になっています。この場合は、三重の入れ子の分数になっています。

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 無理数は、分数(有理数)で表わせない数の総称ですが、連分数を使うと無理数を表わせる場合があります。連分数は、”有理数と無理数をつなぐ架け橋”のような特殊な分数です。例えば前回の記事で書いた円周率πは、以下のように表せます。

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 また、連分数は”大きな数を使った分数の約分”に役立ちます。このような問題は、中学/高校/大学入試、また『数学検定』の問題に出たりします。横浜市立大学の2017年の入試では、『148953/298767 を約分せよ』という短くシンプルな問題が出題されました。約分の問題は、最大公約数が見つかれば簡単ですが、数が大きな分母や分子の場合には最大公約数が簡単には見つかりません。

 こんな場合に使われるのが、『ユークリッドの互除法』というアルゴリズムです。高校の数学で習うので、覚えている人もいるでしょう。しかし、計算がけっこう面倒です。『ユークリッドの互除法』と原理はほとんど同じですが、『連分数展開』を使えば機械的に約分ができてしまいます。ここでは詳しく説明しませんが、元の分数から分子が1になるように次々と連分数を作って行くと、あるところで割り切れて一つの連分数が得られます。あとはこの連分数を逆に通常の分数に戻すと、”あ~ら不思議”、複雑な分数が簡単な分数に約分できてしまいます。

 途中の計算は省略しますが、答えは”173/247”です。なお、このときの最大公約数は861になります。


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