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数学の小ネタ#6 鶴亀算と連立方程式

 鶴亀算は、中学受験などに出てくる定番の算数問題です。まだ連立方程式を習っていない小学生に唯一出しても良い(?)問題のようです。鶴亀算は、特殊な連立方程式ですが、解き方を覚えれば簡単に解くことができます。しかし、恐ろしく難しい算数の問題が、中学受験の問題に出たりします。

 かなり昔ですが、子供が中学受験の塾に通っていた頃、「どんな問題やってるの?」と聞いたら、模擬試験の問題を見せてくれました。小学生が解く問題と侮ってはいけません。中には、解法を知らないと大人でも時間がかかる問題が数多くあります。その時、たまたま目に入ったのが”格子状の道”の順列・組み合わせの問題でした。この問題が気になった数か月後、ほとんど同じ問題が”九大の数学の入試問題”に出て、驚いたことがありました。

 鶴亀算に戻りますが、鶴と亀は足の数が2本と4本で、足の数の差からそれぞれの個体数を計算する問題です。鶴亀算は、コツが分かれば優しい問題です。中学や高校になると、急にxやyなどの変数(変な数?)が出てきて、戸惑います。これらの変数を使って解くのが、連立方程式です。高校では2元または3元の連立方程式しか出てきませんが、一般的には「代入法で一文字消去」というのが定番の解き方です。

 しかし、高校生の時に出会った3元の連立方程式の解法に痺れました。例えば、x+y=3; y+z=5; z+x=4 のような3つの式の場合、全部の式を足し合わせてまとめると、x+y+z=6という式が導けます。あとは、この式から前の式を引けば、暗算でもx=1; y=2, z=3 が計算できます。これを通常の代入法で解くと、意外と厄介です。解けないことはありませんが、時間がかかります。このように、”スマートな別解”に触れてから、数学が好きになってきました。今でも、数学の問題を解いたりすると、ついつい別解(他の方法)を探してしまいます。

 しかし、基本的な代入や消去の考え方は、数値計算では重要です。この方法は、元数の多い問題を解く場合も、連立方程式の解法の基本になります。コンピュータで多元の連立方程式を解く場合には、ガウスの消去法と言うアルゴリズムが使われます。このアルゴリズムは、ひたすら代入と消去を繰り返して解く方法なので、プログラミングのアルゴリズムに向いた方法です。しかし、元数が多くなると非効率なので、実際には不完全コレスキー分解などを使ったアルゴリズムが使われます。

 何かをひとつ理解すると、分からないことが増えていきます。でも、この積み重ね(経験)が、後々効いてくるのです。一朝一夕には、数学は理解できません。

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