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私家版英文法#8 英語は神様視点

 今回は英文法というより、英語と日本語の根本的な違いについての話です。日本語の会話や文章では、主語は必要ありません。それは、日本語が話者中心の言語なので、わかりきった主語をわざわざ示す必要が無いからです。しかし、英語では主語を省略することができません。

 日本語では食事の後に「ああ、美味しかった」という表現が成立しますが、これには主語はありません。この文章を無理やりに「私が食べた料理は大変美味しかった」と表現することはできますが、不自然な日本語になってしまいます。これを英語で表現すれば、I ate it delicious. または It is so delicious. みたいな英文になります。どちらの場合も、I It のような主語が必要になります。これは、英語が神様視点の言語だからです。天上の神様が下界を見ているのですから、誰が(何が)そうなったのかを、神様が理解する必要があります。そのように考えれば、主語が省略できないことにも納得できます。

 また、英語では天候を表わすときに、”It is fine.”のようにitなどの仮主語が使われます。しかし、日本語では「いい天気だ」で済んでしまいます。もちろん、この簡潔な文章には主語はありません。

 前回の動名詞の文章のように、英語では事物などの無生物主語も普通に使われます。例えば、”Me firing you was a business.”は、「あなたを解雇したことは私の仕事だった」と直訳できますが、自然な日本語なら「仕方なく、あなたを解雇したんだ」となります。

 日本語と英語では発想が大きく異なります。日本語の表現に拘ると英訳できないし、その逆も同じです。英語に限らず、外国語は難しいですね。

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